3月25日のプロ野球開幕から1ヵ月が経過した。絶好調の選手、不振に苦しむ選手など早くも明暗が分かれているが、ここで12球団の開幕1ヵ月「MVP」、「逆MVP」を挙げてみよう。今回はヤクルトだ。※成績は4月24日時点

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●MVP
太田賢吾(内野手)

 昨季は二軍で首位打者を獲得するも、春季キャンプ前に新型コロナウイルスに罹患し出遅れ。オープン戦での出番がなく、開幕は二軍スタートとなった。4月2日の一軍昇格後も控えの存在だったが、サンタナが下半身のコンディション不良で離脱すると宮本丈、濱田太貴との争いを制し右翼のポジションを掴んだ。

 17日のDeNA戦からは「1番・右翼」で起用されると、いきなり2試合連続複数安打を放ち、開幕カード以来となる連勝に大きく貢献。守備でも本職ではないライトを無難にこなし、23日の試合では間一髪のダイビングキャッチで石川雅規の白星に貢献した。

 太田の存在があったからこそ、本来は1番が定位置の塩見泰隆を5番に据えることができた。サンタナが離脱して浮上しかけた4番・村上宗隆の後ろ、すなわち「5番問題」解決の一端を太田が担った。

 しかし4月下旬に入ってからやや停滞している感はある。ここからが太田にとって正念場。チームが上位争いに食らいついていくためにも、そしてシーズンを通したMVPになるためにもリードオフマンとしての役割を果たすことが求められる。
●逆MVP
中村悠平(捕手)

 昨年の日本シリーズではMVPに輝き、今季からは背番号「27」に変更。扇の要として二連覇へチームを引っ張っていかねばならない存在だった。しかしオープン戦の序盤でコンディション不良を発症し、開幕は二軍スタート。ここまで一軍での出場はない。

 ここまで一軍は古賀優大、松本直樹、内山壮真と3人の捕手でなんとかやりくりしてはいる。しかし6番あるいは下位打線で打率.280を期待でき、犠打や進塁打と状況に応じた打撃のできる中村不在は作戦の幅を狭める。

 また、中村不在は投手陣の数字にも現れている。昨季は投手陣のK%(21.4%)とBB%(6.9%)がともにチームトップだったが、今季はK%(18.2%)がリーグ5位でBB%(7.4%)もリーグ4位。リーグ内順位は相対的なものであるが、投手陣にほぼ入れ替わりがない中で数値自体も下降しているのは気がかりだ。

 ここまで小川泰弘やオスナなど思うような成績を残すことができていない選手はいる。しかしそれ以上に”試合に出場できていない”中村の不在のほうがチームに与えるダメージは大きい。

 だがここにきて中村は二軍戦で戦列に復帰した。打席に入るだけではなくマスクをかぶっており、一軍昇格はもうまもなくの見込み。中村が逆MVPから日本シリーズのようにMVP級の活躍を見せることができれば、チームの未来も明るいものとなる。

文●勝田聡

【著者プロフィール】 
かつた・さとし/1979年生まれ、東京都出身。人材派遣業界、食品業界で従事し30代後半で独立。プロ野球、独立リーグ、MLBなど年間100試合ほど現地観戦を行っている。2016年から神宮球場でのヤクルト戦を全試合観戦中。

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