バレーボールの男子日本代表「龍神NIPPON」が4月24日、静岡市内の清水ナショナルトレーニングセンター(J-STEP)での第1回国内合宿の練習を報道陣に公開した。4月14日から始まった同合宿は、石川祐希主将や高橋藍、Vリーグを最後まで戦ったサントリーや名古屋の選手らを除く15名が参加している。

 22年度の代表登録メンバーは、35人のうち15人が初選出というフレッシュな構成だ。J-STEPでも東山高校3年の麻野堅斗ら4人が新メンバーとして参加した。そんな中で、ひときわ大きな声やジェスチャーで存在感を示していたのが、2021-22年シーズンをイタリア・セリエAのビーボ・バレンティアでプレーした西田有志だった。

「新しいメンバーも加わり明るいが、コミュニケーションという部分では、まだまだ。もっと喋っていかないと、試合になると結果はついてこない。コミュニケーションが取れれば、練習のレベルももっと上がってくる。そういう部分は意識してやっている」と語った西田は、イタリアでの経験を代表にフィードバックしたい思いが強い。

「セリエAでは全員がプロ。練習中と練習後のギャップがあり、その意識が刺激的で、練習のクオリティーも上がり、プレーも良くなった。それをこっちで還元したい」

 1シーズンだけだが、イタリアでのプレーで自信がついた22歳は、「(スパイクを)思い切り打てば相手ブロックをはじくかもしれないが、それだけじゃ勝てない。自分の中でもっとバリエーションを増やすことが、イタリアで見えた課題」と、今後取り組まなくてはいけないことを分析した。
  そんな中で、イタリアで対戦した石川祐希(パワーバレー・ミラノ)から受けた影響は大きかった。「イタリアで何が変わったかと言えば、自信がついたこと。でも彼には7シーズンも積み上げてきたものがある。自分も見ているだけでなく、一緒に戦えるようにとしか考えなかった」と意識に変化が生まれたことを明かす。

「東京五輪の時は、まだ自分のことで精一杯で、石川主将についていく部分があった。ついていくのではなく、そういった立場でもう一人(選手が)いたら、もっともっとチームは強くなると思う。(チームの)核になる選手であるべきだと、自分で感じた。みなさんにどう映るか分からないが、しっかりと体現できるように日頃から自分にプレッシャーをかけ続けるのが大事だと思う」。
  石川主将についていき、プレーだけで引っ張るのではなく、自らも成長した姿で主将とともにチームの意識を変えていくんだという気持ちが芽生えた西田。イタリアでのメッセージのやり取りで「一緒の立場で戦えるように頑張る」と、石川には伝えたそうだ。

 ブラン監督ともイタリア語で会話出来るようになったことで、さらにコミュニケーションが取れるようになったといい、「監督に自分(西田)ならと思ってもらえれば」と、これまで以上の信頼を勝ち取るつもりだ。

 イタリアでの生活で、84キロの体重は90キロになり、胸板も厚くなったサウスポーエースは、「バランスよく大きくなり、サーブで海外の選手に負けなくなった。体の状態はいいし、落とす必要はないかな」と口にし、こう笑顔で締めた。
 「自分の立場を、自分の中で明確にしていくのも大切かなと。今、自分のポジションが見つかったのかなと感じる。やっと、22歳になって、そんな感じ」

 練習を見守った南部正司・男子強化委員長は「パリに向けて中核になってもらわなければならない選手。そういう意識でチームを引っ張ってほしい」と期待を寄せた。

 増量した体とともに、気持ちの面でも大きく成長し、パワーアップして代表に戻って来た西田。さらなる飛躍が期待できそうだ。

文●北野正樹(フリーライター)
【プロフィール】きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。南海が球団譲渡を決断する「譲渡3条件」や、柳田将洋のサントリー復帰などを先行報道した。関西運動記者クラブ会友。