アルファタウリの角田裕毅は、F1第4戦エミリア・ロマーニャ・グランプリで安定したドライビングを披露して7位入賞を果たし、開幕戦バーレーンGP以来となるポイント獲得を果たした。
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 予選では悔いの残る形でQ1敗退を喫し、ホームレースということもあってチーム全体が失意に包まれることとなったが、スプリントで16番グリッドから4つ順位を上げて決勝に望みを繋ぐと、日曜日も複雑なコンディションの中でオーバーテイクを披露するとともに、後続からの追い上げを巧みに防ぐなど、良さを存分に発揮して今季最高の成績を挙げている。

 ファクトリーの多くのスタッフがスタンドから見守る中での好結果に「スーパーハッピー」と大きな喜びを表わした日本人ドライバーに対し、英国のモータースポーツ専門メディア『THE RACE』は「昨季最終戦のアブダビGP(4位入賞)に次ぐ良いドライビング」と称賛、そしてアルファタウリのフランツ・トスト代表は「これから良いレースを続けていくためのベースができている」と、今後に向けても太鼓判を押した。

 初日を終えた時には、全く想像できなかった素晴らしい結末を迎えた角田。思い起こせば、昨季のイモラは、バーレーンGPでデビュー戦9位入賞を果たして一躍主役に躍り出た後に迎えたホームレースであり、勝手知ったるコースということで過剰な自信とやる気を持って臨んだ結果、各セッションでスピンやクラッシュを喫し、決勝でもみすみす連続入賞のチャンスを自ら潰して、自信喪失とともに、長く続く苦難の時期に突入していった。

 昨季アブダビGPの後、角田は「イモラ以降、自信を高めるために長い道のりを要し、本当に苦労しました」と振り返ったものだが、今回のイモラのレースを終えた後、「昨季は自分をコントロールできず、悪いループにはまってしまいました。しかし、ここで多くのことを学んだことで、ステップアップすることできました」と、1年経っての自身の進化について言及している(オランダのモータースポーツ専門メディア『RN365』より)。

 これについて、米国の自動車専門メディア『THE DRIVE』も言及し、「角田のイモラでの“カムバック”は、F1ドライバーが自信を取り戻す方法を示している」と指摘。「2021年、バーレーンのヒーローだったルーキーはイモラで負のスパイラルに突入したが、同じコースで今季、最高の結果を獲得して、ドライバーが自信を取り戻す完璧な事例を自ら示した」と綴った。
  同メディアは、「誰もがユウキのことが好きで、他のドライバーは彼に夢中になっていた」と21歳のドライバーの人間的な魅力を認める一方で、「信じられない言動を見せるファンキーな男が、このままF1のキャリアを続けられるか定かではなかった」と記述。また、「昨季の中盤の彼はどうしようもなく迷子に見えた」と指摘し、その理由としてシート喪失の可能性や、後釜候補のドライバーの名前が彼の耳に入ってきたことを挙げ、これが彼を真剣な自身の改善に導いたという。
【動画】角田裕毅の「2台抜き」シーンをチェック!順位は一時6位まで上昇 自信を取り戻すのは簡単ではないが、そのキャリアを揺るがし、ストレスを誘発する時間の始まりだった場面(イモラ)に戻った角田が、昨季よりはるかに良いパフォーマンスを発揮し、チームメイトのピエール・ガスリーが後方で苦戦する中で、ファクトリーのスタッフの眼前で今季最高の成績を挙げたことは、自信を取り戻す何よりの方法だったと、同メディアは断定した。
【関連記事】「簡単な芸当ではない」F1第4戦、7位入賞の角田裕毅に各国メディアも高採点! スタートから5ランクアップに称賛の声 さらに、これは他のドライバーにも影響を与える可能性があると指摘。マクラーレン移籍以降、苦戦している時間の方が長いダニエル・リカルド、フェラーリでの最終年以降、継続してパフォーマンスが発揮できていないセバスティアン・ヴェッテル(アストンマーティン)、そして今季、ポーパシングの最大の犠牲者となっているメルセデスのルイス・ハミルトンら、経験豊富なドライバーにとっても、「グリッド上の最年少ドライバーによる自信の再構築が、インスピレーションとなるかもしれない」として、記事は締められている。

 もっとも、これで完全に角田が自信を取り戻し、快進撃を見せるのかは、まだ誰にも分からない。イモラの後、彼はメディアからの“煽り”に対して「興奮させ過ぎないでください(笑)。僕はまだ学んでいる最中であり、改善すべき点もたくさんあると感じています」と返したが、この先、どのような形で成長を示してくれるかが非常に楽しみである。

構成●THE DIGEST編集部