現地時間4月28日、フィラデルフィア・セブンティシクサーズは敵地スコシアバンク・アリーナで行なわれたトロント・ラプターズとのプレーオフ1回戦第6戦を132−97で制し、4勝2敗でシリーズを突破した。

「俺たちは第7戦でフィリーへ戻りたくはなかった」というジェームズ・ハーデンの言葉通り、シクサーズはチーム全体でフィールドゴール81本中47本成功の成功率58.0%、3ポイントも40本中16本の成功率40.0%と高精度なシュートで相手を押し切った。

 ジョエル・エンビードが33得点、10リバウンド、2スティール、3ブロックでチームを牽引したほか、タイリース・マキシーが25得点、8アシスト、ハーデンが22得点、15アシスト、トバイアス・ハリスが19得点、11リバウンド、ダニー・グリーンが12得点と先発全員が2桁得点をマーク。カンファレンス・セミファイナルでは、1回戦でアトランタ・ホークスを4勝1敗で下した第1シードのマイアミ・ヒートと激突する。
  シクサーズにとって、カンファレンス・セミファイナルは長年突破できていない大きな壁だ。第1シードで臨んだ昨季はホークスに3勝4敗で敗れるなど、過去4年で3度同シリーズで敗退。最後に突破したのはファイナルに進出した2001年まで遡る。

 そんななか、当時のエースであるアレン・アイバーソンが、球団のアンバサダーとして米放送局『NBC Sports』の取材に対応。1990年代後半から2000年代中盤にかけて一世を風靡したカリスマは、古巣へ大きなエールを送った。

 アイバーソンはまず、勝負を決めた第6戦について、「俺たちは相手のホームで勝利しなきゃならない」と言及。「もし第7戦でホームへ戻ったら何だって起こりうるし、俺たちにとってはタフな展開になる。だからこそ(第6戦で)ケリをつけるべきだ」と述べた。

 シクサーズは初戦から3連勝で一気に王手をかけるも、第4戦から2連敗。ホームで行なわれた第5戦では88−103の完敗を喫しており、ラプターズに流れが傾きかけていた。

「3−0になったとしても、(シリーズに)ケリをつけていなければ、自己分析を重ねて反省する必要がある。そうでないと、責任の擦り付け合いが始まって、誰かを非難するゲームになってしまう」
  アイバーソンが指摘したように、このシリーズではハーデンが5戦を終えてフィールドゴール成功率37.3%の平均18.4点と不発。アシストこそ9.2本を残すも、エンビードと並ぶ2枚看板と呼ぶには物足りないパフォーマンスに終わっていた。

 そのため、アイバーソンは「懸念しているわけじゃないが、ちょっとイライラしていた。(ラプターズが)勝ったことには驚かないが、ホームで戦ったあの試合(第5戦)には驚かされた。俺たちはクローズアウトすることが必要だった」と語る。

 それでも、「彼ならやってくれるさ。俺は彼のことを信じている。あのチームならうまくいくさ」とハーデンを擁護。ネガティブな声も上がるドック・リバースHCにもエールを送った。

「コートでプレーしているどんな選手たちにも、責任を押し付けてはダメだ。鏡で見て、自分がもっといい仕事ができたのではないかと自問自答するんだ。そして自分たちのチームをどのようにすれば引き上げることができるかを考え抜くこと。特にチームNo.1のヤツはそうでなければならない。だが皆もその感覚を持っていなければならない」
  次の対戦相手であるヒートとのレギュラーシーズン戦績は2勝2敗。ハーデンはシクサーズ加入後にヒートと対戦していないものの、相手は組織的なディフェンスに定評があり、エンビードは3試合で平均23.7点、フィールドゴール成功率42.0%に封じられている。

 そこで期待がかかるのは伸び盛りのマキシーだ。「彼がコートでためらったりせず、アグレッシブにプレーし続けることはものすごく重要だと思う」と、アイバーソンは進境著しい21歳をキーマンに挙げる。

「確かに、あのチームではジョエルとジェームズの大活躍が求められている。だが3番手や4番手の選手たちがステップアップして、スーパースターからプレッシャーを取り除いてくれるのはとても重要だ」

 エンビードはラプターズとの第3戦前半に右手親指の靭帯を裂傷。シーズン終了後に手術を受ける予定で、今プレーオフはこのままプレーし続けると公言しているものの、ヒートもファウルを駆使して肉弾戦を挑んでくることは容易に想像できる。シクサーズが主導権を握るためには、レジェンドOBの言うようにハーデンやマキシーといった選手たちの奮起がマストとなりそうだ。

文●秋山裕之(フリーライター)