プロ野球も開幕から1か月以上が経過。昨季上位のチームが下位に沈むなど、異なる様相を呈している。また、異なるのは選手も同様だ。昨季まで無名だった選手、あるいはルーキーのなかにも、ここまで非常に優れた成績を残している選手もいる。彼らは今後も活躍を維持できるのだろうか。4月にブレイクした投手3名をピックアップし、今後を占ってみたい。

●大勢(巨人)
登板13(13.0回) 0勝0敗11S 防御率2.08 奪三振率11.77 与四球率2.08

 新人ながらここまで大きなインパクトを残しているのが大勢だ。4月終了時点でセーブ数はリーグダントツの11。巨人のブルペンに安定感を与えている。

 投手についてはFIP(Fielding Independent Pitching)という指標を使って今後の活躍を占う。FIPは奪三振・与四死球・被本塁打の3項目を使い、運や野手の守備から独立した投手の働きを測る指標だ。

 防御率と同じスケールで作られており、直感的に良い/悪いの判断もできる。もしFIPが防御率よりも優れていれば、今後の成績は好転すると予測でき、逆に悪い方向に乖離があるようだと、成績悪化の可能性が出てくる。
  果たして、大勢のFIPは2.58。投球内容を見ると、9イニングあたり2.58点喫するのが妥当なようだ。大勢の実際の失点率は2.08点であるため、FIPと実際の失点率の間にそれほど大きな差はない。ここまでは結果にふさわしい投球内容を見せているといっていいだろう。アクシデントがなければ、このまま成績を維持できる見込みが高い。

●赤星優志(巨人)
登板5(29.0回) 2勝1敗 防御率3.41 奪三振率5.59 与四球率3.41

 大勢と同じ新人で先発ローテーションに入っているのが赤星優志だ。赤星は4月終了時点で5試合に先発し、2勝1敗。5試合中4試合を2失点以内で抑えるなど、新人ながら十分な活躍を見せているように見える。だが、さきほど紹介したFIPの観点から見ると、3・4月の赤星はやや出来過ぎと言える。

【動画】大勢がプロ初セーブを記録! 土壇場に強いルーキーの投球がこれだ 赤星は実際の失点率が3.72であるのに対してFIPは4.96と、悪い方に乖離が見られた。特に苦しいのが奪三振能力の低さだ。対戦打者に対して三振を奪う割合を表すK%は14.9%。これはリーグ平均の18.9%を大きく下回っていて、簡単に言えば赤星の投球は運や野手の守備に頼ることが多くなっていた。

 そして5月3日の広島戦では、味方のエラー絡みとはいえ3.1回11安打12失点(3自責点)の大炎上。そのすべてが赤星に原因があったわけではないが、球威不足から空振りを奪えず、インプレーにさせてしまったことがKO劇につながったと言えるだろう。
 ●北山亘基(日本ハム)
登板10(12.0回) 3勝1敗1S1H 防御率2.25 奪三振9.00 与四球率6.75

 新人ながら“ビッグボス”新庄剛志監督から開幕投手を任されて話題を呼んだ北山亘基はどうだろうか。ここまでは抑えを中心に12イニングを投げて防御率・失点率は2.25。チーム状況からセーブ数こそ1つにとどまっているが、十分な成果を残しているように見える。

 ただ、北山についてもFIPと失点率にはやや乖離があるようだ。ここまでは失点率2.25に対してFIPは3.17。さきほどの赤星ほど差は大きくないが、やや運に恵まれているという評価が妥当だ。

 北山の問題は与四球の多さである。対戦打者に対する与四球の割合はパ・リーグ平均が8.2%であるのに対し、北山は16.4%。平均的な投手の倍のペースで四球を与えているのだ。こうした投球内容を考えると、もう少し失点していてもおかしくはないというのがFIPの下した評価だ。

 一方で、さきほど赤星の課題として挙げたK%については21.8%と十分な値を記録。与四球の多さを改善できれば現在の成績を維持することも十分可能だ。

※データはすべて4月終了時点

文●DELTA(@Deltagraphs/https://deltagraphs.co.jp/)

【著者プロフィール】
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』の運営、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート5』(水曜社刊)が4月6日に発売。