現地時間5月3日に行なわれたゴールデンステイト・ウォリアーズとメンフィス・グリズリーズによるウエスタン・カンファレンス・セミファイナル第2戦は、106−101でグリズリーズが競り勝ち、シリーズ戦績を1勝1敗とした。

 試合はステフィン・カリーの3ポイントが決まって残り4分33秒でウォリアーズが4点をリードするも、そこからグリズリーズのエース、ジャ・モラントのスコアリングモードが発動。

 今季MIP(最優秀躍進選手賞)に選ばれた22歳のヤングスターは、ドライブやステップバックスリー、フローター、フリースローを立て続けに放り込み、チーム最後の15得点を1人で荒稼ぎしてみせた。

 モラントは今年のプレーオフでリーグ最多となる47得点に8リバウンド、8アシスト、3スティール、ザイエア・ウィリアムズが14得点、5リバウンド、ジャレン・ジャクソンJr.が12得点、7リバウンド、2ブロック、ブランドン・クラークが10得点。

 たしかに、この試合のヒーローは紛れもなくモラントであり、グリズリーズのオールスターガードが終盤に躍動し、勝利へと導いた見事なストーリーが出来上がった。
  だが、この試合の序盤に後味の悪いプレーもあった。第1クォーター残り9分8秒、速攻でドレイモンド・グリーンのパスを受けたゲイリー・ペイトン二世がレイアップを打とうとした際、ディロン・ブルックスが左腕で身体を押し、右腕を顔面へぶつけるハードファウルを仕掛けたのだ。

 落下した際にペイトン二世は左ヒジを強打し、苦痛で顔を歪めてしばらく立ち上がれず。その後フリースローを1本決めたものの、開始2分でベンチへ下がり、再びコートへ戻ることはなかった。

 このプレーによってブルックスはフレグラントファウルのタイプ2が宣告されて一発退場。両チームは試合序盤にスターターを1人ずつ失いながら戦うことを余儀なくされた。

 ペイトン二世はX線検査の結果、左ヒジの骨折が発覚。翌4日にMRI検査を受ける予定だが、ウォリアーズは貴重なディフェンダーを失うことになった。

「あのプレーが意図的だったのか私には分からない。だがあれはダーティーだった。プレーオフのバスケットボールというのはフィジカルになりがちだ。それは皆が競い合い、戦うからだ。でもこのリーグには一線というものがある。

 それは選手たちのキャリアやシーズンを危険にさらすようなことをしてはならないというものなんだ。だが今回のプレーで(ブルックスは)空中で腕を頭にぶつけて、ゲイリーのヒジを骨折させた。ディロン・ブルックスは一線を越えてしまったんだ」

 スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)が試合後にそう怒りを露わにするのも仕方ない。ペイトン二世は殿堂入りした偉大な司令塔を父に持ち、ドラフト外からキャリアを重ねてウォリアーズで居場所を見つけた選手。 今季は71試合(先発16試合)の出場で平均7.1点、3.5リバウンド、1.4スティールと、自己最高のシーズンを送ってきた。

「彼はこの6年間というもの、リーグに定着するために苦労してきた。そこでようやくホームと呼べる場所を見つけたんだ。シーズンを通して一生懸命やってきた。今年のプレーオフで、彼は人生のなかで輝くべき時だった」

 カーHCが話したとおり、ペイトン二世はプレーオフでもローテーション入りし、デンバー・ナゲッツとのファーストラウンドでも全5試合に出場。第5戦ではシリーズ決着へと誘う貴重な3ポイントも沈めた。

 だが利き手である左ヒジを骨折してしまったことで、このシリーズ残り試合の全休あるいはプレーオフ絶望、さらには来季開幕さえ間に合わない可能性もある。
  カリーもこのプレーには「あれはやってはいけないプレー。ディフェンスがいない状況でレイアップにいったのだから、あの状況で起こってはいけないプレーだった」とブルックスを非難し、さらにこうも続けていた。

「確かにタフなスタートだった。フレグラント2についての話もそう。あれはその1つになった。正しい判定だったとは思う。でもGP(ペイトン)のことを思うと辛い。このシリーズは彼が輝く時だったのに、あのプレーで彼が離脱してしまった。これは本当に辛い」

 今年1月にはミルウォーキー・バックスのグレイソン・アレンがシカゴ・ブルズのアレックス・カルーソへのハードファウルによって右手首を骨折させて退場処分。その後、リーグはアレンへ1試合の出場停止処分を科しただけに、ブルックスにも同等の処分が下されることになりそうだ。

文●秋山裕之(フリーライター)