当代の球界では、“唯一無二”の偉才が球史にまたも名を刻んだ。

 現地時間5月5日、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平は、敵地で行なわれたボストン・レッドソックス戦に「3番・DH兼投手」で先発。投げては7回(99球)、11奪三振、被安打6、無四球、無失点で降板して3勝目をマーク。打っては4打数2安打1打点という成績だった。

 レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークでは、“野球の神様”と称されるベーブ・ルースが、1919年9月20日のシカゴ・ホワイトソックス戦でやって以来、およそ103年ぶりに“リアル二刀流”で、クリーンアップを打った大谷。敵地ながらファンから歓声を受けた背番号17は、前回登板から中7日での先発ながら序盤から上々のピッチングを見せる。

 初回に荒れた前回のインディアンス戦とは異なり、今日は序盤から力のある4シームが活きた。トレバー・ストーリーやザンダー・ボガーツという強打者と対峙した初回を3奪三振という最高のスタートを切ると、2回と3回はヒットを打たれながらも危なげなく無失点で抑えた。
【動画】ピンチで吠えた! 大谷翔平がレッドソックス打線を気迫で抑えた奪三振シーン 四球から崩れることもなかった大谷。中盤以降もキレ味のあるスライダーと99マイル(約159.3キロ)を記録した4シームで、レッドソックス打線に得点の糸口を見出させない。

 一方でエンジェルス打線も、相手先発のリッチ・ヒルを攻略できない。4回表には大谷がスタンドまで、あとわずかという400フィート(約121.9メートル)のヒットを放って、チャンスを創出するも、後続が続かずに得点には至らなかった。

 味方打線の援護は得られずとも、この日の大谷は動じなかった。4回からは“伝家の宝刀”であるスプリットも多投しはじめ、5回までに9奪三振をマーク。とりわけ無死二塁のピンチを招いた5回裏の投球は圧巻の一語。一球ごとに「シャオラッ!」と吠えながら相手バッターに立ち向かうと、ラストバッターのラファエル・デバースには、今季自己最速となる100.3マイル(約161.4キロ)の4シームを投げ込んで見逃し三振を奪取。無失点で切り抜ける気迫のピッチングを見せる。

 試合は中盤以降もスコアレスでの投手戦が続いた。そのなかで大谷は6回にも1死二塁の窮地に立たされるが力勝負で押し込む。すると、味方野手も奮起し、二死3塁となってから遊撃手アンドリュー・ベラスケスが好捕で先制点を与えなかった。

 右腕の好投になんとか応えたいエンジェルス打線は7回表についに試合を動かす。1死二塁の好機で、5番のジャレッド・ウォルシュが先制の2ラン本塁打を放ったのだ。

 ようやく援護点を得た大谷は、今季初の7回のマウンドにも立つ。この回もランナーを許す苦しい展開となったが、2死からラストバッターのストーリーを空振り三振に切って取ると、ふたたび「ヨッシャー!」と咆哮。まさにエースと呼ぶにふさわしいピッチングには、ジョー・マッドン監督も思わず拍手をして迎え入れた。

 8回表には、大谷がふたたび打撃で魅せる。エンジェルスが1点を加え、なおも無死満塁という好機で第4打席に立つと、初球を軽々と流し打ち。これが球場名物のグリーンモンスター直撃のタイムリーヒットとなり、チームに貴重な4点目を加点した。

 その後、9回表に1点を加えたエンジェルスは継投で逃げ切る。8回から登板したマイク・マイヤーズが2イニングをしっかりと投げ切り、レッドソックスをシャットアウト。8対0で勝利して、大谷にも嬉しい3勝目がついた。

 ルースが二刀流として活躍した舞台で、投手として存在感を放った大谷。感情を前面に押し出した快投は、間違いなく彼のキャリアのなかでもトップクラスに印象深いものとなった。

構成●THE DIGEST編集部