3歳春のマイル王を決めるNHKマイルカップ(G1、東京・芝1600m)が5月8日に行われる。もともと短距離戦線を進んでいた馬や、距離適性を考慮してクラシック戦線を断念した力量馬も参戦するため、すんなりとは収まらないのがこの一戦。さっそく勢力図を見ていこう。

【皐月賞】福永騎手のアシストを受け、ジオグリフが寮馬イクイノックスを降して戴冠。日本ダービーの行方はどうだ? 主軸と見られるのは、重賞2勝に加え、朝日杯フューチュリティステークス(G1、阪神・芝1600m)で2着に食い込んだセリフォス(牡3歳/栗東・中内田充正厩舎)、前走のアーリントンカップ(G3、阪神・芝1600m)を快勝したダノンスコーピオン(牡3歳/栗東・安田隆行厩舎)の2頭だろう。

 アドマイヤマーズ(マイルG1を3勝)、レシステンシア(阪神ジュベナイルフィリーズ)など、マイル戦での活躍馬を多く出しているダイワメジャー産駒であるセリフォスは、ここまでの4戦がすべて1600m戦という生粋のマイラーだ。新馬戦を順当に勝ち上がると、2戦目には新潟2歳ステークス(G3)を快勝。続くデイリー杯2歳ステークス(G2、阪神)も僅差を制して3連勝。前述したように朝日杯フューチュリティステークスでは、のちに皐月賞(G1、中山・芝2000m)で1番人気に推されるドウデュース(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)に競り負けたが、その差はわずか半馬身。G1ホースになれるだけのポテンシャルを十分に示した。

 今回はそれ以来のレースとなるが、1週前追い切りでは抜群の動きを披露。ブランクを感じさせぬばかりか、約4カ月の休養を経て一段と馬体がたくましくなった印象だ。

 もし取りこぼしたとしても、大崩れは考えづらいという意味でも、主役の座にふさわしい存在だと言えるだろう。

 片やダノンスコーピオンは、朝日杯フューチュリティステークスで3着となったあと、クラシック路線を意識しつつ共同通信杯(G3、東京・芝1800m)に出走。しかし、これを7着に敗れると、再びマイル路線に舵を切り直して臨んだアーリントンカップでは、直線一気の鋭い追い込みで優勝。こちらも3歳マイル戦線のトップランナーの1頭であることをあらためて示した。
  先の2頭に続くのは、弥生賞(G2、中山・芝2000m)で僅差の5着に入ったインダストリア(牡3歳/美浦・宮田敬介厩舎)、プレップレースのニュージーランドトロフィー(G2、中山・芝1600m)を逃げ切ったジャングロ(牡3歳/栗東・森秀行厩舎)、シンザン記念をしぶとく勝ち切ったマテンロウオリオン(牡3歳/栗東・昆貢厩舎)の3頭あたりか。
  馬場のコンディションが先週と大きく変わらなければ前でレースを進められる馬に有利な舞台となるが、その意味では、おそらく逃げるであろうジャングロを目前に見ながら先行でき、なおかつ絆が強い「昆−横山典」ラインに乗るマテンロウレオに触手が伸びる。ちなみに本馬もダイワメジャー産駒である。

 また、短期免許を取得して来日したダミアン・レーン騎手への乗り替わりで注目を集めるであろうインダストリアも、前走の弥生賞こそ距離の長さもあって5着に敗れているが、東京コースで芝1800mの未勝利戦を勝った経験を持っているようにスタミナに問題はなく、マイルへの距離短縮はプラスに働きそうだ。

 その他、穴馬として挙げておきたいのは4頭。サウジアラビアカップ(G3、東京・芝1600m)で2着に食い込んだことがあるステルナティーア(牝3歳/美浦・木村哲也厩舎)。デビュー2戦目のデイリー杯2歳ステークス(G2、阪神・芝1600m)で2着となり、ここが約6カ月ぶりの実戦となるソネットフレーズ(牝3歳/美浦・手塚貴久厩舎)。皐月賞で大敗したことからマイル路線へと進路をスイッチした、きさらぎ賞(中京・芝1600m)2着のダンテズヴュー(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)。

 このなかで1頭推すならば、キャリアがわずか2戦であり、未知の魅力が大きいソネットフレーズになるだろうか。鞍上に横山武史騎手を迎えたのも楽しみなポイントだ。

文●三好達彦
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