直近2シーズン、熾烈な戦いを繰り広げているメンフィス・グリズリーズとゴールデンステイト・ウォリアーズ。昨季はプレーイン・ゲームでウエスタン・カンファレンス第8シードの座をかけて激突し、延長の末に117−112でグリズリーズがプレーオフ進出を決めた。

 今季のレギュラーシーズンでも激戦を演じ、グリズリーズが3勝1敗と勝ち越しに成功。グリズリーズはウエスト2位の56勝26敗(勝率68.3%)、ウォリアーズは同3位の53勝29敗(勝率64.6%)という成績を残してプレーオフへと駒を進め、それぞれファーストラウンドを突破してカンファレンス・セミファイナルで再び相見えた。

 現地時間5月1日に幕を開けたシリーズ初戦は、ウォリアーズが117−116で先勝。最後のポゼッション、グリズリーズはエースのジャ・モラントにボールを託すも、逆転を狙ったレイアップは無情にも外れてしまった。

「第1戦であのレイアップを落としたことに、僕はイラついていた。その時にステフ(ステフィン・カリー)が僕とジャレン(ジャクソンJr.)のもとへやって来て『このシリーズはバトルになる。きっと楽しくなる』と言ってきたんだ」
 初戦を終えた後に記者たちへそう明かしたモラントは、3日に行なわれた第2戦で47得点に8リバウンド、8アシスト、3スティールと大爆発。チームを106−101の勝利へ導くと、「今夜そのメッセージを彼に言い返すことができたよ」と口にしていた。

 両チームによるシリーズは、7日にウォリアーズの本拠地チェイス・センターへ会場を移して第3戦が行なわれる。6日の練習後、カリーはグリズリーズを引っ張るモラントについてこう話していた。

「僕らはそれぞれ、異なる形で表現している。彼がフロアでやっていること、彼のプレーを観ていると、間違いなく刺激になっているよ。彼がコート上で見せている独特の癖が僕は大好きでね。どれだけゲームを愛しているか、どれだけの闘争心を備えているのか、それにフロアに立っていることへの感謝を示しているんだ」 ボールを手に持ち、ドライブを中心に相手ディフェンス陣を分断し、驚異的な身体能力を駆使してペイントエリアで大量得点を奪うモラント。それに対し、カリーは持ち前のシュート力を生かしたプレーの数々で、相手チームを奈落の底へと突き落としてきた。

 両選手のプレースタイルは大きく異なるものの、ウォリアーズのスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)はこう指摘する。

「ジャのプレーを観るのは大好きだ。彼に対してコーチするよりもね。彼は華々しい選手であり、自由と楽しさを出してプレーしている。彼がどれほどゲームを愛しているのかを見てとれるはずだ。彼はまさにファンタスティックで、それがチームメイトたちや観客にも伝染しているんだと思う。その点はうちのステフと非常に似ている。確かに、あの2人はまったく異なるタイプの選手だけど、自由と楽しさをもってプレーしているからね」
 グリズリーズはモラントという絶対的エースの力を最大限まで引き出すべく、チームメイトたちがスクリーンをかけたり、スペースを空けて変幻自在のプレーを演出。一方のウォリアーズも、カリーのためにスクリーンをかける、あるいはカリー自身が囮となってオフボールムーブで身体を犠牲にしつつ、カリーの動きをチーム全員が察知してイージーショットを生み出している。

 そこにはバスケットボールをプレーできる幸せ、プレーオフというチャンピオンシップ獲得をかけた大舞台で競い合えることを心底楽しむ2人がコート上にいる。

 グリズリーズとウォリアーズによるシリーズは、若手のモラントとベテランのカリーが織りなす相乗効果も期待できそうだ。はたして、7日の第3戦でシリーズ2勝目を手にするのはどちらのチームか。次戦も必見のゲームとなるに違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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