現地時間5月26日(日本時間27日、日付は以下同)に行なわれたウエスタン・カンファレンス・ファイナル第5戦。ゴールデンステイト・ウォリアーズはダラス・マーベリックスに一度もリードを許さず、120−110で快勝を収めて4勝1敗でシリーズを制した。

 2019年以来、3年ぶりのNBAファイナル進出を果たしたウォリアーズ。直近8年間のスパンで6度目となったが、これは1990年代に2度の3連覇を成し遂げたマイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズ以来初であり、NBA史上4チーム目の快挙となった。

 このシリーズで平均23.8点、6.6リバウンド、7.4アシストとオールラウンドな活躍を見せたステフィン・カリーは、今年から新設されたカンファレンス・ファイナルMVPを受賞。自身の経歴に新たな勲章を加えた。

 もっとも、この第5戦に限ってみれば、MVPはクレイ・トンプソンだろう。前半だけで5本の3ポイント成功を含む両チーム最多の19得点を奪うと、後半に入ってからもショットを決め続け、ゲームハイの32得点に2リバウンド、3アシスト、3ポイントは8本をマークした。
  トンプソンはメンフィス・グリズリーズとのカンファレンス・セミファイナル、決着がついた第6戦でも8本の長距離砲をヒット。チームトップの30得点に8リバウンド、3ブロックの大活躍を見せていた。

 直近7度のシリーズ第6戦のうち、トンプソンは6度も25得点以上を記録。そのため“Game 6 Klay”(第6戦のクレイ)と評されてきたのだが、今年のプレーオフではシリーズに終止符を打つ2試合で躍動したことから“Clinching Klay”(決着をつけるクレイ)へと変えるべきかが話題に上がっていた。

 トンプソンはそのことについて「僕は“Game 6 Klay”で十分さ。もう新たなニックネームは必要ないね」と笑みを見せていたものの、ここ数年の道のりを考えれば、感情的になったことは間違いない。

「何て言えばいいか、本当に言葉が浮かんでこない。昨年のこの時期、僕はちょうどジョギングを始めたところで、コートを行ったり来たりしていたんだ。今の気持ちを表現するなら、自分がやってきたことが確かなものだったんだと感じるね。もの凄くありがたいことさ」
  トンプソンは2019年のファイナル第6戦で左ヒザの前十字靭帯断裂、2020年11月には右足のアキレス腱を断裂と、相次ぐ大ケガに見舞われて過去2シーズンを全休。今年1月9日のクリーブランド・キャバリアーズ戦で941日ぶりに復帰し、そこからも出場制限があるなかで必死にもがいてきた。

「彼がこの数年間で、どれほどの試合を欠場していたかを見てくれ。俺たちが知るクレイ・トンプソンが戻ってきてくれたことが本当に嬉しいんだ。俺たちは彼がどれだけ凄いかを知っているからな」

 ドレイモンド・グリーンがそう語れば、スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)もトンプソンの活躍に目を細めていた。

「このチームの選手たちのことを嬉しく思う。特に彼がここまで戻ってくるまで戦ってきたことは、信じられない偉業だ。彼がその一員になれたことが凄く嬉しい。見ていて素晴らしかったよ」

 試合終了後、ウエスタン・カンファレンスを制したことでトンプソンも喜びを爆発させていた。

「この日を夢見ていた。自分の身体がまたこうして動いていることに感謝している。走れなかった時や跳べなかった時のことを思うと、今ここにいる僕らはどれだけラッキーなのかをね。この(カンファレンス優勝の)シャツをまた着て、(NBAファイナルの)帽子をかぶることができるなんて、もう本当に夢のようだ」
 『ESPN Stats & Info』によると、ウォリアーズはプレーオフにおいて18シリーズ連続でウエストのチーム相手に勝利しているという。つまり2015年以降“ファイナル以外で負けていない”ことを意味しているのだが、これはNBA史上最長の記録だという。

 プレーオフの7戦シリーズを勝ち抜くことの難しさは、この舞台に立ってきた選手たちが一番理解しているはず。カリー、トンプソン、グリーンを擁するウォリアーズは、それだけ困難なことを達成したのである。

 6月2日から幕を開けるNBAファイナルの相手は、イースタン・カンファレンス・ファイナルが第7戦までもつれたことで、マイアミ・ヒートとボストン・セルティックスのうち、最終戦を制したいずれかのチームとなる。

 もっとも、ウォリアーズはすでにホームコート・アドバンテージを手にしており、今プレーオフで9戦無敗を誇るチェイス・センターで最初の2戦を戦うことができるだけに、今は消耗した身体を休ませて、頂上決戦に向けてコンディションを整えてほしいところだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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