現地時間5月27日に行なわれたマイアミ・ヒートとボストン・セルティックスによるイースタン・カンファレンス・ファイナル第6戦は、ヒートが111−103で競り勝ち、シリーズ戦績を3勝3敗として逆王手をかけた。

 この日のヒーローはなんと言ってもジミー・バトラーだろう。「今夜ジミーは負けず嫌いなんだという気持ちを持ち込んでくれた。それはこのチームを負けさせてたまるかという強い意志だった」とヒートのエリック・スポールストラHC(ヘッドコーチ)が称えたように、32歳のエースは両軍最多の45分57秒コートに立ち、プレーオフキャリアハイの47得点に9リバウンド、8アシスト、4スティールと殊勲の活躍でチームを勝利に導いた。

 今プレーオフに入ってから、右ヒザの炎症に悩まされてきたバトラーだが、第6戦を前に、シカゴ・ブルズ時代のチームメイトでヒートが誇るレジェンドのドゥエイン・ウェイドから連絡をもらったと明かしていた。

「彼から『お前ならできる』と言われた。ヒザを少し負傷しているけど、『そんなの関係ない。コートへ出て、君のレガシーを構築し続けるんだ』とね。それが俺にとってかけがえのないものになった。だからD-Wadeにはもの凄く感謝している」

 ヒートで3度の優勝すべてに主力として貢献してきたスーパースターからの直々の言葉が、バトラーを奮い立たせたことは言うまでもない。
  もっとも、第4,5戦と2戦連続で82得点以下に終わっていたヒートが敵地TDガーデンで勝利を手にした要因はそれだけではない。

 先日、3年ぶりのNBAファイナル進出を決めたゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンが、26日の試合後に『TNT』の「Inside the NBA」へ出演した際にシャキール・オニールからファイナルの相手について聞かれて「俺たちはボストンへ行くだろう」と、相手がセルティックスになると発言したのだ。

 これについてヒート一筋41歳のユドニス・ハズレムは「ドレイモンドは一線を超えてしまった。あんな腹立たしくなることを言うべきじゃない。彼はシャックのプレッシャーの前に言ってしまったのかもしれないが、俺はあの後ほとんど眠れなかった。あれは実にくだらない話だった」と怒りを露わにしていた。

 ウォリアーズでヴォーカルリーダーを務めるグリーンは、現在のチームに自信を持っているのだろう。彼は自身のポッドキャスト番組を持っているほか、今年1月には『Turner Sports』(ターナー・スポーツ)と複数年契約を締結。現役選手ながら『TNT』の番組にも出演しており、エンターテインメントの一環として、という意味合いもあったのかもしれない。 だが、マスト・ウィン・ゲームを翌日に控えていたヒートの選手たちがこの発言に機嫌を損ねたのは間違いない。ヒューストン・ロケッツ在籍時にウォリアーズと対戦経験のあるPJ・タッカーは「ドレイモンドには『ありがとな』と伝えてくれ」と切り出し、こう語っていた。

「面白いね。俺たちは(それを聞いて)笑ってしまったよ。だって彼は誰もが試合でプレーしなきゃいけないと分かっているんだから。戦わなきゃいけないんだ。このリーグでは誰かが絶対に勝てるなんて保障などないんだ。だから選手がある特定のチームをピックするのは変な感じだ。(どうしてあんな発言をしたのか)俺には分からないね」
  ヒートとセルティックスによるイースト決勝第7戦は、29日にヒートのホームであるFTXアリーナで行なわれる。闘争心が旺盛で、負けず嫌いな選手が多く揃うヒートは、グリーンの発言を発奮材料に逆転でファイナルの切符を掴めるか注目だ。

文●秋山裕之(フリーライター)