マイアミ・ヒートのタイラー・ヒーローにとって、キャリア3年目の2021−22シーズンは間違いなく自己最高のシーズンだった。

 66試合(先発10試合)に出場して平均20.7点、5.0リバウンド、4.0アシスト、3ポイント成功率39.9%(平均2.7本)をマークし、最優秀シックスマン賞も獲得。

 ただ、プレーオフでは計15試合の出場で平均12.6点、3.9リバウンド、2.8アシストにフィールドゴール(FG)成功率40.9%、3ポイント成功率22.9%と失速。

 特にボストン・セルティックスとのカンファレンス・ファイナルでは最初の2戦こそ2桁得点を残すも、鼠径部を痛めた影響で第4〜6戦を欠場。第7戦で復帰したものの無得点でシリーズ平均9.3点、FG成功率37.2%、3ポイント成功率は6.7%と不発に終わった。

 現地時間5月31日に行なわれたシーズン終了会見で、ヒーローは今季をこのように振り返っていた。

「まず言いたいのは、今シーズンは良かった、いや最高だった。経験を重ねていくにつれてね。プレーオフは変な道のりになってしまったけど、それは僕にとってこれから学んでいくためのものなんだ。皆は忘れてるようだけど、僕は22歳なんだ」

 ヒーローはルーキーイヤーの20年のプレーオフで平均16.0点、5.1リバウンド、3.7アシストを記録。初年度からNBAファイナルへ勝ち上がったヒートの主力を務めあげたこともあり、その後は周囲のプレッシャーに悩まされていたのかもしれない。
  今年のプレーオフで2年ぶりのファイナル進出を目指したヒートだが、セルティックスに3勝4敗で惜敗。今夏にはヴィクター・オラディポやマーキーフ・モリス、ドゥエイン・デッドモンらが制限なしフリーエージェント(FA)、PJ・タッカーは来季契約がプレーヤーオプションで、ケイレブ・マーティンが制限付きFAとなるが、エリック・スポールストラHC(ヘッドコーチ)は31日の会見でこう話していた。

「我々はいつでも親密であり、ドアを叩いてきた。残念な敗戦で(今季を)終えたとしても、このチームの歴史は選手たちがほとんど残り、コアメンバーたちが戻ってきて前へ進んできた」

 指揮官の言葉からも分かるとおり、ファイナルまで1勝に迫ったヒートは来季も今季と同等のロースターで臨むことが予想される。

「それ(今プレーオフの経験)が僕に刺激を与えて高めてくれるだろう。それにもっとうまくなるためには何を磨いていく必要があるのかを教えてくれるはずだ。今度同じ状況に陥った時、僕はもっとうまく準備して臨めるはずだ」とリベンジを誓ったヒーローも、間違いなくヒートの主力の1人だ。

 ヒーローは来季開幕前までに、5年1億8600万ドル(約239億9400万円)の延長契約を結べる資格があるが、彼が来季掲げているゴールは先発定着だという。

「1つの方向性として、僕はスタートになりたい。(来季で)4年目になるからね。僕はその座を勝ち取ったんだと思っている。どう変わっていくか、見ていこうじゃないか」

 シュート力や1オン1スキルなど攻撃力は申し分ないだけに、来季ヒーローがjジミー・バトラーやバム・アデバヨとともにスタメン起用される可能性は十分あるだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)