現地時間6月2日(日本時間3日)、ボストン・セルティックスとゴールデンステイト・ウォリアーズによるNBAファイナル第1戦が、カリフォルニア州サンフランシスコのチェイス・センターで幕を開けた。

 第1クォーターはステフィン・カリーの3ポイントが面白いように決まり、単一クォーターにおけるファイナル新記録となる6本成功、21得点を叩き出してウォリアーズがリード。だがセルティックスはジェイレン・ブラウン、アル・ホーフォードらを中心に追い上げ、前半を終えて56−54と2点差で折り返した。

 第3クォーターはカリーやアンドリュー・ウィギンズの活躍でウォリアーズが逆転。さらにオットー・ポーターJr.やアンドレ・イグダーラのタイムリーな長距離砲も決まって38−24と制し、92−80と12点差をつける。

 ところが、セルティックスはそこからブラウンやホーフォードが攻め立てて再び逆転すると、最終クォーターを40−16と圧倒。大事な初戦を120−108で制した。
  痛恨の負けを喫したウォリアーズだが、3年ぶりのファイナルの舞台はまだ始まったばかり。初出場の選手も多いなか、試合前にはクレイ・トンプソンの父であり、ロサンゼルス・レイカーズ時代に2連覇(1987、88年)を経験したマイカル・トンプソンが、息子についてコメントした。

 この日のトンプソンは38分57秒プレーしてフィールドゴール成功率42.9%(6/14)、3ポイント成功率42.9%(3/7)の15得点に2リバウンド、3アシストをマーク。第2クォーター中盤にはポーターJr.のオフボールスクリーンから抜け出して2本目の3ポイントを決め、プレーオフ通算3ポイント成功数(433本)でレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ/432本)を抜いて歴代2位へ浮上した。

『Warriors Live』へ出演したマイカルは、3年前のファイナルでの大ケガから復活した息子クレイをかつてのレジェンドに重ね合わせる。

「彼を見ていると3人の男を思い出すんだ。そのうち1人は似たようなプレーはしないが、残りの2人、レジー・ミラー(元インディアナ・ペイサーズ)とレイ・アレン(元セルティックスほか)とは似たようなプレーをしているね」
  ミラーとアレンは現役時代にいずれもリーグ最高級のシューターとして活躍し、レギュラーシーズンにおける通算3ポイント成功数でアレンは2973本で2位、ミラーは2560本で4位という実績を誇る。

 対するトンプソンも1試合における3ポイント成功数で歴代最多の14本、1つのクォーターで37得点、約29分間にわずか11回のドリブルで60得点など、数々の記録を保持し、史上屈指のキャッチ&シューターとしての地位を確立。その正確無比なシュート力は歴代有数と言っていい。

 もっとも、父マイカルが3人目として挙げたのはコビー・ブライアント。レイカーズ一筋20シーズンをプレーし、5度の優勝を果たしたスーパースターである。

 トンプソンと同じシューティングガードではあるものの、コビーはボールハンドラーとしてプレーメーキングもこなしつつ、あらゆるパターンで得点を積み重ねていくスタイルだけに、両者に似通った点はあまりないように思える。

 だがマイカルは「彼にはコビー・ブライアントのメンタリティがあるんだ。コビーが若い頃、レイカーズの近くにいたからね。2003年からレイカーズで練習を重ねてきた。そう、コビーを見て育ってきたんだ」と回想する。
 「彼(クレイ)がまだ高校生だった時、コビー・ブライアントとワークアウトをしたんだ。私は(コビーへ)『クレイのところへ行って話してくれ。私たち家族のためにね』と言ったら、コビーは近くに行って座り、試合のメンタル面、メンタルタフネスについて話していたよ。それがクレイにどれだけ好影響を与えたことか。彼はそこでコビーからのアドバイスを心に刻んだのさ」

 カリー、トンプソンはいずれも二世選手であり、少年時代に父の近くでバスケットボールをプレーしていたことで、NBA選手と練習したり、直接アドバイスをもらう貴重な機会を手にしていたということなのだろう。

 もちろん、彼らは決してその機会を得ただけでここまでの選手になれたわけではない。練習を積み重ねて自らの武器を磨きつつ、弱点を克服してきたからこそ、現在の地位を確立できたのだ。

 ファイナル初戦で、ウォリアーズは今プレーオフ9戦無敗のホームでセルティックスに逆転負けを喫した。両チームは今プレーオフでこれまで一度も連敗がないだけに、ウォリアーズは5日の第2戦で挽回すべく、すでに準備を進めていることだろう。

 特に超がつくほどの負けず嫌いだったコビーのメンタリティを受け継いだトンプソンは、この敗戦から立ち直って、次戦では初戦以上の気迫でセルティックスへ襲い掛かるのではないだろうか。

文●秋山裕之(フリーライター)