熱闘の最中に起きたショッキングなシーンだった。

 事の発端となったのは、WBFアフリカのライト級タイトルマッチの終盤だった。10回にシミソ・ブテレジ(南アフリカ)が、対戦相手のシフェシレ・ムントゥングワ(南アフリカ)をロープ際に追い詰めてダウンを奪取。ほどなくして試合は再開されたのだが、ダウンをもぎ取ったブテレジが、フラフラと相手のいない方へと歩き出したのだ。
【動画】まさに戦慄の映像。世界が嘆いた南アボクサーの幻との格闘シーン

 力なく歩き出し、ムントゥングワもいないサイドへパンチを繰り出すブテレジ。彼はダウンを奪う直前に顎にパンチを受けており、そのダメージから“幻覚”が見えてしまっていたのかもしれない。ともかく、これを危険と判断したレフェリーは即刻試合をストップした。

 なお、レフェリーはムントゥングワの勝利を宣言。だが、試合後にWBFの公式サイト上では「延期」とされている。

 本来なら、いないはずの“見えない敵”と闘っていたブテレジの動作はあまりに悲惨で、頭部へのダメージの深さを物語っていた。ゆえに海外メディアも驚きと嘆きが入り混じったかのように伝えている。
  英スポーツ専門サイト『Sportbible』は「我々が目にしたのは、見えない相手にパンチを繰り出すボクサーの恐ろしい映像だ。彼の動作は、皮肉にも格闘技で何が起こり得るかを改めて伝えるものだった」とレポート。さらに英スポーツ専門ラジオ局『talk SPORT』も「スポーツ史上で最も奇妙な敗北だ」と振り返った。

 また、スペイン紙『Marca』もアフリカの地で起きた“事件”をクローズアップ。問題のシーンについて「ブテレジはほとんど意識を失っていた。だが、方向感覚が乱れるなかでも、彼は幻の敵と戦い続けた」と描写したうえで、こう記した。

「このボクシングというスポーツの危険性を示す、身も凍るような瞬間だった」

 もっとも、試合後に現地の病院に運ばれたブテレジの状態は安定しており、大きな怪我もなく回復傾向にあるという。本人が無事だったのは何よりだが、背筋が凍るような恐い場面だった。

構成●THE DIGEST編集部

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