先週のテニス四大大会「全仏オープン」にディフェンディングチャンピオンとして臨んだ男子テニス世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)。だが順調に勝ち進んだ中で迎えた準々決勝では後に同大会14度目の優勝を果たしたラファエル・ナダル(スペイン/4位)に4時間を超える死闘の末に2−6、6−4、2−6、6−7(4)で敗れ、大会連覇を逃した。

 2019年からコーチとしてジョコビッチを支え続けてきた元世界2位のゴラン・イバニセビッチ氏にとっても、この敗戦は非常にショックだったようだ。このほど米テニス専門メディア『Tennis Majors』のインタビューに登場した同氏は「正直に言わなければならない。とても悲しくて、今も眠れないんだ。彼は今非常に落ち込んでいるけど、僕も悲しいんだ。僕も彼もあの試合は勝てたと思っているから」と現在の心境を告白した。

 その上でずっとそばで見守ってきたからこそ、思うようなプレーができなかったジョコビッチについては厳しい評価を下している。

「試合のスタートが決定的なものになると何度も忠告したが、それにもかかわらず、彼はまた悪いスタートを切ってしまった。それから第3セットの彼のプレーは、まるでエネルギーがなく、勝てる見込みがないと思っているようで、理解しがたいものだった」
  続けてイバニセビッチ氏は「ラファはより安定していたから、あの試合に勝つに値した。ラファのエネルギーは素晴らしかった」と勝者のナダルを称賛しつつも、「彼のバックハンドには必要な深さがなく、非常に浅いショットとなってしまって、ラファの攻撃を許してしまった。またノバクには信念がなかった」とジョコビッチの敗因を分析した。

 ナダルへ声援を送っていた大多数の観客がジョコビッチに対してはブーイングを浴びせる場面が見られたことについては「世界ナンバーワンでグランドスラム20度の優勝を誇るノバクに対してブーイングをするなんて、本当に不公平だと思う」と不満を率直に吐露。だが一方でイバニセビッチ氏は「彼は慣れているから対処の仕方を知っているはず。言い訳にはできないよ」と冷静な口調ぶりで述べた。

 それでも最後にイバニセビッチ氏は今月末開催の「ウインブルドン」(6月27日〜7月10日/イギリス・ロンドン/芝/グランドスラム)について、「彼はタイトルの最有力候補だ。いい予感がしている。彼は困難な敗北を乗り越えてきており、ロンドンではベストの状態で臨めると確信している」と大会4連覇を狙うジョコビッチへ期待の言葉を送った。

 今年度の同大会ではランキングポイントの付与停止が確定しているとはいえ、最高峰の舞台で頂点を目指すことは大きなモチベーションにもつながるはずだ。絶対王者らしいパフォーマンスを発揮できるよう、ジョコビッチには順調に調整を進めてもらいたい。

文●中村光佑

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