国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が、今月末に開幕するテニス四大大会「ウインブルドン」(6月27日〜7月10日/イギリス・ロンドン)でのロシア・ベラルーシ人選手の出場禁止措置について、大会主催側と英国政府を批判した。

 今年2月末に始まったロシアのウクライナ侵攻はスポーツ界にも大きな影響を与えており、すでに多くの競技で「ロシア・ベラルーシ外し」の動きが加速している。テニス界では英国政府からの勧告を受けたウインブルドンの大会主催側が、今年4月にロシアとベラルーシ人選手の出場を認めないことを正式に発表した。

 この決定について夏季オリンピック国際競技連盟の総会で演説を行なったバッハ会長は「政治的利益がスポーツにおける意思決定に影響を与えてしまう」ことに懸念を示した。

「政府が自分たちの政治的利益に従って、誰が競技に参加できて誰ができないかを決めるなら、どうやってスポーツにおける公正な国際競争を保証するのか。全て政府から愛されている国なんて世界に一つもない」とバッハ会長。
  その上で「これ(出場禁止措置)は、我々が支持する全ての原則に反している。こうした決定を政府に任せてしまうと、我々は政治の道具になってしまい、これ以上公正な競争を保証することはできない」と強めの口調で非難し、「私たちの課題は、私たち自身が平和な競争で全世界を一つにできる日に戻らなければならないことを理解することだ」と主張する。

 また「もちろん戦争を支持している人は全員制裁を受ける可能性があり、またそれを受けるべきである」としつつも、「ただし、戦争を支持していない人は全員、その権利が尊重されなければならない。私たち自身のルールと国際法のルールの下ではパスポートによる制裁はなく、むしろ制裁があってはならない」とコメントした。

 今回のロシア・ベラルーシ人選手の出場禁止措置については依然として賛否両論が巻き起こっている。その中で「平和の祭典」とも称されるオリンピックを主催する組織のトップが両国の選手を擁護するような姿勢を見せただけに、各方面で物議を醸しそうだ。

文●中村光佑

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