現地時間6月13日、カタール・ワールドカップの大陸間プレーオフ決勝が行なわれ、オーストラリア代表がスコアレスからのPK戦(5-4)でペルー代表を下して、5大会連続6回目の本大会出場を果たした。
【関連記事】なんと米メディアが早くもカタールW杯全試合の結果を徹底予想! 日本の結果、そして優勝国は!? 中立地であるカタールのアル・ラーヤンで開催された一戦は、一進一退のまま120分間が過ぎ、11メートルの対決へ。ここでオーストラリアのグラハム・アーノルド監督はキャプテンでもあるGKマシュー・ライアンに代わってアンドリュー・レッドメインを起用する。1番手のマーティン・ボイルが止められるも、ペルーの3番手ルイス・アドビンクラのシュートが左ポストを叩いてタイに戻ると、サドンデス突入の6巡目、ここでレッドメインが「PK戦要員」としての役割を果たし、アレックス・バレラを見事に止めてみせた。

 PK戦前のGK交代といえば、今季のイングランド・カラバオ・カップ決勝でチェルシーがエドゥアール・メンディからケパ・アリサバラガへのメンバーチェンジを敢行したが、1人も止めることなく、逆にキッカーとして11巡目で失敗という裏目に出るケースもあったが、アーノルド監督の賭けは成功。「アンドリューは優れたPKセーバーであり、ペルーの精神面に影響を与える意味もあった」と起用の理由を語っている(オーストラリアの日刊紙『THE AGE』より)。

 また、指揮官はPK戦に備えてこのベテラン守護神をカタールに連れて行くことを数か月前から決めており、またレッドメイン自身も役割を理解し、この数日間は特別にPKの練習を行なっていたという。その甲斐あって見事に殊勲者となった33歳だが、「私はヒーローではない。チームメイト同様に自分の仕事を果たしただけだ。(PK戦前に)ピッチに立っていた11人は、もっと大きなことを成し遂げた」と謙虚さを失わなかった。

「主審から『君はよく動くから、PKを止めても、VARでチェックする必要があるので、すぐに喜んで走り出したりしないように』と注意を受けた」と明かしたレッドメイン。“よく動く”とは、キッカーを惑わすための、ゴールライン上を左右に行き来しながらの奇妙な動きのことを指す。

「イスタンブールの奇跡」でのリバプールGKイェルジ・ドゥデクを彷彿とさせるものだが、所属するシドニーFCでもこの動きでPKをセーブしてタイトルをチームにもたらしたこともあり、ピンク色のユニホームを着用している彼は「ピンク・ウィッグル(クネクネした動きの意)」と呼ばれ、本拠地ムーアパークでは人気を博しているという(チームカラーと名前を掛け合わせて「ブルーメイン」とも呼ばれているとか)。そして今回、新たに「グレー・ウィッグル」の愛称が全国的に広まることとなった。
  一躍、世界的にも注目の人となったレッドメインだが、『THE AGE』はそのキャリアを振り返り、少年時代はアーセナルのユースチームで研鑽を積むも、ヴォイチェフ・シュチェスニー(現ユベントス)の後塵を拝してプロ契約を勝ち取れず、帰国してプロとなってからは多くのクラブを渡り歩き、ある時期には教員免許を取得して教師になることを決意していたが、2017年に控えとして加入したシドニーFCでブレイクし、30歳で代表デビューを果たしたことなどを紹介している。
  なお、敗れたペルーの地元紙『El Comercio』は「ライアンに代わったレッドメインは、ペルー選手の気を逸らすため、両腕を動かしながら、目的を果たした」「彼がこのような珍しい“戦略”を用いたのは、これが初めてではない」と、この「奇妙な動き」に言及。また、2大会連続出場にペルーを導けなかったリカルド・ガレカ監督の「ルールの範囲内のことであるなら、私からは何も言うことはない」とのコメントを紹介した。

 オーストラリアといえば、かつてプレーオフでは1986年大会予選(スコットランドに敗北)、94年大会(アルゼンチン)、98年大会(イラン)、2002年大会(ウルグアイ)でことごとく涙を飲んできたが、2006年大会でウルグアイを今回同様にPK戦で下して産みの苦しみを乗り越えると、前回2018年大会でもホンジュラスを抑えている(3-1)。この究極の戦いの“経験”の強みが今回も活かされたようで、本大会連続出場(今回で5回)を維持している。

 今回は戦前に、アーノルド監督が「中東での戦いには慣れている」と語ったのに対し、ガレカ監督は猛暑のカタールでの戦いに異論を唱えており、ある意味、アドバンテージを持って戦い、指揮官の戦略も当たって最高の結果を得たと言えるかもしれない。

 歓喜をもたらしたレッドメインは、本大会でも最終メンバーに名を連ねるのか。そして、彼がPK要員として活躍する場面は訪れるか。それには、フランス、デンマーク、チュニジアとのグループを勝ち抜き、4大会ぶりの決勝トーナメント進出を果たす必要がある。

構成●THE DIGEST編集部
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