現地時間6月16日に行なわれたNBAファイナル第6戦。ボストン・セルティックスの本拠地TDガーデンでは試合開始前からホームチームへの大歓声が鳴り響くなか、ゴールデンステイト・ウォリアーズは序盤こそ2−14とリードを許したものの、そこから35−8と見事な反撃で主導権を握り、最終スコア103−90で勝利を収めて2018年以来となるチャンピオンの座に就いた。

 このシリーズで平均31.2点(フィールドゴール成功率48.2%、3ポイント成功率43.7%、フリースロー成功率85.7%)、6.0リバウンド、5.0アシスト、2.0スティールの大活躍を見せたステフィン・カリーは、投票権を持つメディア11人全員からの票を集め、満票でファイナルMVPを初受賞。

 だが試合後の会見で最初に「ファイナルMVPはあなたにとってどんな重要性がありますか?」という質問が飛ぶと、カリーは「どうしてその質問から始めるんだ?」と語り、まずは優勝の喜びを表した。

「僕らは4つ目のチャンピオンシップを手に入れた。この舞台に立ち、セルティックスという素晴らしいチームを相手に最高のチームメイトたちと戦えたことに感謝している」
  2015年から19年にかけて5年連続でファイナルの舞台に立ち、3度(15、17、18年)の優勝を飾ったウォリアーズは、主力の相次ぐケガやロースターの若返りなどもあって昨季までの2シーズンはプレーオフにさえ出場できなかった。

 だが今季はカリー、ドレイモンド・グリーンを絶対の中心とするチームに、今年1月には約2年半ぶりにクレイ・トンプソンが復帰。スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)はチームを支える主軸たちを称賛しつつ、「今回の優勝は最も可能性が低かったかもしれない。この優勝はチームの全員がグループとして努力を重ねてやり遂げたことだ」と胸を張った。

 ウォリアーズは前回のファイナル以降、20年2月にトレードで加入したアンドリュー・ウィギンズを筆頭に、確かな得点力で台頭したジョーダン・プール、持ち前の守備とハッスルプレーで盛り立てるゲイリー・ペイトン二世、3&Dとして要所で活躍したオットー・ポーターJr.らが中心選手に成長。ファイナルの舞台では彼らが見事にかみ合い、1勝2敗の劣勢から3連勝で頂点まで駆け上がった。
 「このチームには素晴らしい選手たちがたくさんいた。なかでもステフは別格だ。彼こそがこの快進撃を作り出した張本人だ」と指揮官が絶賛したカリーは、今回の優勝を特別なものだと評していた。

「この優勝がこれまでとは違うのは確かだね。この3年間で数多くのケガ、ロースターの変更といったことがあったから。ウィグズ(ウィギンズ)がやってきて、若い選手たちがこの舞台へ舞い戻ることができるんだという信念を持ち込んで、勝つことができたんだ。

 そして今、僕たちは4つ目のチャンピオンシップを手に入れた。僕、ドレイ、クレイ、アンドレ(イグダーラ)はやり遂げたんだ。もう本当にスペシャルなことさ。これまでに費やしてきた時間と努力が報われたと思う。このチームの皆のことが誇らしいよ」

 09年のドラフトでウォリアーズから指名されたカリーは、球団を代表するフランチャイズプレーヤーとなり、さらにはNBAの顔にもなった。
  これまでのキャリアで、優勝4回にシーズンMVP2回、そして新たにファイナルMVPを加えたスーパースターについて、8シーズンにわたって指導してきた指揮官は最後、冗談交じりに“注文”をつけた。

「彼にはオリンピックの金メダルが欠けているね(笑)。 2024年の(パリ)オリンピックのチームへ参加することに集中すべきだと思う。彼のキャリアに欠けている最後の要素だ」

 カリーはアメリカ代表として2010年と14年のFIBAワールドカップで金メダルを獲得しているものの、意外にもオリンピックには未出場。カーはパリ五輪でアメリカ代表の指揮官を務めることが決まっているだけに、カリーに出場してもらいたい気持ちがあるのも事実かもしれない。

 もっとも、昨年9月下旬に始まったトレーニングキャンプから約9か月間も戦い続けてきた選手たちは、今は優勝の喜びをチームメイトたちや家族、友人たちと分かち合うことしか考えていないだろう。

 今秋9月30日と10月2日には、ジャパンゲームズでウォリアーズと八村塁の所属するワシントン・ウィザーズがさいたまスーパーアリーナで2試合を行なう。彼らがチャンピオンチームとして来日することを心待ちにしたい。

文●秋山裕之(フリーライター)