NBAの2021−22シーズンでウエスタン・カンファレンス2位争いを演じたメンフィス・グリズリーズとゴールデンステイト・ウォリアーズには、少なからず因縁がある。

 19年夏にサラリー削減のため、ウォリアーズはアンドレ・イグダーラをグリズリーズへトレード。だが15年から19年まで5年連続でNBAファイナルへ進出したウォリアーズとは対照的に、当時のグリズリーズは低迷しており、イグダーラは翌20年2月にマイアミ・ヒートへトレードされるまで、一度もコートに立たなかった。

 それ以来、イグダーラはグリズリーズの本拠地フェデックス・フォーラムに足を踏み入れればブーイングを浴びる嫌われ者となっている。

 また、両チームは昨季ウエスト第8シードをかけたプレーイン・ゲームでも激突。ステフィン・カリーのゲームハイの39得点、アンドリュー・ウィギンズの22得点、10リバウンド、ドレイモンド・グリーンのトリプルダブル(11得点、16リバウンド、10アシスト)も実らず、ジャ・モラントが35得点と爆発したグリズリーズが延長の末に117−112で下してプレーオフ出場を果たしていた。

 そして今季、グリズリーズはウエスト2位の56勝26敗(勝率68.3%)、ウォリアーズは同3位の53勝29敗(勝率64.6%)を残し、プレーオフのカンファレンス・セミファイナルで対決してウォリアーズが4勝2敗で下してみせた。
  モラントは第3戦まででシリーズ平均38.3点、6.7リバウンド、8.3アシスト、3.0スティールと暴れ回るも、右ヒザの骨挫傷により翌第4戦から戦線離脱。エースを欠いたチームは敗れたが、ディロン・ブルックスはシリーズ終了後に「僕らは若くて、相手(ウォリアーズ)は年をとっている。だから彼らはこれから毎年、僕らが立ち向かってくると分かっているさ」と宣戦布告。

 その発言に対し、カリーは「彼はかなりクレイジーなことを言っていたね。まるで自分たちがすでに王朝を築いたかのようだ。(それがどれほど難しいことなのか)理解しなきゃいけないね」と“大人の対応”を見せていた。

 最終的に今季のウォリアーズはチャンピオンまで上りつめたことで、両チームの差はさらに広がったと言っていい。

 そんななか、ウォリアーズとのシリーズ後半をベンチから眺めていたモラントが口を開いた。現地時間6月28日(日本時間29日)に地元メディア『The Commerical Appeal』へ掲載された記事の中で、22歳のオールスターガードはウォリアーズについてこう話していた。
 「前にも言ったけど、手が届く地位だね。僕らはそのことについて心配することはない。確かに、彼らはチャンピオンシップを勝ち取ったんだから、おめでとうと言いたい。でも僕らとしては、メンフィス・グリズリーズのためにここで何をしていくか、そしてリングを手に入れることにフォーカスしていかなきゃいけない」

 8年間で4度目の王座獲得となったウォリアーズは、紛れもなく現代のNBAで最高のチームを形成しており、主力の長期離脱でもない限り、来季も覇権争いの中心にいるだろう。

 モラントとしては、ウォリアーズへ対抗意識を燃やしすぎるのではなく、チームとして自分たちのやるべきことに集中していくことを強調していた。
 「僕らにライバル関係なんてないよ。僕らはあくまで自分たちのことにフォーカスしてきた…そこから逃げたりはしない。どんなことが立ち塞がろうと、僕らは自分たちのゴールへ突き進んでいく。それに、僕らとしてはこのリーグでライバル関係にあるチームなんてないね」

 モラントはあくまでウォリアーズと敵対しているわけではないと主張。優勝という究極のゴールにたどり着くべく、一歩ずつ前へと進んでいくということなのだろう。

 ただし、今プレーオフでグリズリーズがウォリアーズに敗れたことは事実。それが来季に向けたモチベーションのひとつになっているのは間違いない。

 今季味わった悔しい思いを晴らすべく、来季に臨むモラントとグリズリーズの動向に注目だ。

文●秋山裕之(フリーライター)