レアル・マドリーのレンタルプレーヤーとして3シーズンを終えた久保建英の去就が注目を集めている。

 多くのクラブが関心を示しているといわれる21歳の日本人選手に対し、真っ先に手を挙げたのは過去2度、彼の獲得に動いたレアル・ソシエダ。イマノル・アルグアシル監督の下、ラ・リーガで上位を定位置として、欧州カップ戦の常連にもなっているバスクの名門は、久保の成長を願うマドリーにとっても最適な環境だと思われる。だが、交渉は難航しているようだ。

 原因は、ソシエダが完全移籍での獲得を望んでいるのに対し、マドリーがあくまでも1年間のレンタルを前提にしているためだ。マドリーの専門サイト『Defensa Central』などによれば、ソシエダが3年前にMFマルティン・ウーデゴーを2年間のレンタルでマドリーから借り受けた際、初年度で彼が活躍すると、2年目を待たずして都合良く連れ戻されてしまった過去を忘れておらず、この二の舞を避けるためにも完全移籍を望んでいる。
  対して、久保を将来的な戦力として捉え、また商業的な見地からも重要視しているというフロレンティーノ・ペレス会長らマドリー首脳陣はこれを受け入れず。交渉は膠着状態に入っており、打ち切りと報じているメディア(『Defensa Central』もそのひとつ)も存在する。

 だが、一方でサッカー専門サイト『FICHAJES FUTBOL』は「クボはレンタルでもソシエダでのプレーを目指しており、引き続き“入札”は進んでいる」と記し、遅々としながらも彼はバスク行きの方向で進んでいるとした。

 バスクの地元紙『Noticias de Gipuzko』も「現時点で交渉は停滞しているが、ソシエダのロベルト・オラベSDには、これをまとめる自信がある。夏はまだ始まったばかりで、交渉は順調に進んでいるが、まだやるべきことはたくさんある」と現状を伝え、スペインのサッカー専門サイト『El Desmarque』は「明らかなのは、『ラ・レアル』はアルグアシル監督をも魅了したクボを欲しがっているということであり、マドリーのペレス会長は彼の将来について決断を下す必要がある」と指摘している。 一方、マドリーの専門サイト『THE REAL CHAMPS』は、レンタルという契約形態に注目し、過去12年間を振り返っての“成功率”を計算。計66件のレンタル案件(久保ら現在進行形の5件は対象外)で、その後、選手がマドリーのトップチームに所属してプレーできたのは15件で、割合では22.72%だと伝えた。

 ちなみに、そのうち3件はファビオ・コエントラン、ガレス・ベイル、ハメス・ロドリゲスというかつての主力が戦力外となったというケースであり、実際は若手選手にとってマドリー復帰はより狭き門であると言える。

 また、今回の久保の案件に関する報道で登場する買い戻しオプションについて、これを契約に含んで売却された選手は23人、権利の一部をマドリーが保有する選手は8人いるが、実際にこれが行使されたのは5人(15.13%)。以降、長くマドリーに定着できたのは、カゼミーロとダニ・カルバハルだけだという。
  このように、選手のレンタルが未来の主力の育成に繋がる確率は決して高くないことが数字からも証明されているが、同メディアはその理由として、レンタルに出されても、実際にプレー時間が満足に与えられなかったというケースが少なくないと指摘。そして、久保やレイニエール、アンドリー・ルニンを「最悪のレンタル契約の事例」に挙げた。

 より、レンタルという契約形態を効果的に使う手段としては、これまで以上にレンタルされた選手を綿密に管理するシステムを構築すること、そして彼らのプレー時間を確保するために、最低時間を設定してペナルティー条項を契約に含むこと(レガネス時代のルニンにはこれが適用されたという)などを、同メディアは提案している。

 こうした実情を踏まえたうえで、久保にとって足枷となりかねないレンタルの形態で今後もキャリアを続けるのか、よりマドリーへの道が狭くなる買い戻しオプション込みの移籍を果たすか、あるいはマドリーの“看板”を外して勝負することになるのか……。今夏、いかなる決断が下されるかが注目される。

構成●THE DIGEST編集部

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