グランドスラム22回の優勝を誇る36歳のレジェンドが、またしても凄まじい底力を発揮した。

 現地7月6日に行なわれたテニス四大大会「ウインブルドン」男子シングルス準々決勝で、第2シードのラファエル・ナダル(スペイン/世界ランク4位)は第11シードのテイラー・フリッツ(アメリカ/同14位)と対戦。3−6、7−5、3−6、7−5、7−6(10−4)のフルセットで勝利し、同大会3年ぶり8度目のベスト4入りを決めた。

 だがこの勝利は満身創痍のなかでつかみ取ったものだった。第2セットではナダルが腹部の痛みを訴えてメディカルタイムアウトを取る場面も。それでも数分間の治療を経て徐々にストロークの精度が上がり、持ち前の粘りのプレーで2セットオールに持ち込む。1ブレークずつして迎えた10ポイントタイブレークでは順調にポイントを重ね、最後は代名詞のフォアハンドウイナーで試合を締めくくった。

 実はナダルは腹部にテーピングを施した上で今大会に臨んでおり、海外メディアの間でもフィジカルコンディションを懸念する声が上がっていた。4時間21分にも及ぶフリッツとの大激戦を制した36歳は試合後の記者会見で、「僕はほとんどケガをしたことがない典型的な選手ではない。痛みと向き合い、問題を抱えながらプレーすることには慣れている」と前向きに語りながらも、腹部の状態に不安をのぞかせてもいる。
 「今日の試合のスタートは、久々に自分のベストのレベルでプレーできたが、残念ながら(第1セット)3−1から腹筋に異変が起こった。正直なところ腹部の状態は良くない。サービスの打ち方を少し変えなければならず、試合を終えられないかもしれないと思った瞬間もあった。明日また検査するけど、今はわからないね」

「腹筋に何か問題があるのだと思う。だがそれが新しいケガかというと、そういうことではない。その痛みは2、3日前からあって、1週間前には腹部に違和感を覚えていた。結局試合には勝ったけど、明日はどうなるかな」

「コート上で痛みを抱えているのは当然心配だ。何とかいい状態を保とうと思って、練習ではサーブを打つことを避けていた。今日の試合ではドクターが抗炎症剤を出してくれた。トレーナーが少し筋肉をほぐそうとしたが、なかなか難しいし簡単に治せない」

 その痛みのなかで「完走したい、勝ちたい、でも勝敗はどうなるかわからない。そう思いながら僕は戦い続けた」と言うナダル。準決勝では自身初のグランドスラムベスト4進出を果たしたニック・キリオス(オーストラリア/40位)と対戦する。

「準決勝の出場は明言できない」ともナダルは語っており、非常に厳しい状況に立たされていることは間違いないが、決勝進出を懸けた大一番で無事にプレーできることを願いたい。

文●中村光佑

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