「まるで昼夜の別れのような、そんな大きな一歩を踏み出すことができました」

 現地7月15日にスウェーデンのバスタードで開催された「ノルデア・オープン」(ATP250)準々決勝で、2時間49分に及ぶ接戦を落とした元世界3位のドミニク・ティーム(オーストリア)は、敗れたとはいえ試合後の記者会見では手応えを口にした。

 昨年6月に参戦した「マヨルカ選手権」での右手首負傷により戦線を離脱したティームは、今年3月のチャレンジャー(下部大会)でようやく復帰を果たしたものの初戦で敗退。それ以降の6大会でも勝ち星に恵まれない我慢の日々が続いた。

 ウインブルドンと同時期の7月初旬に母国で開催されたチャレンジャーでようやく1勝を挙げたが、続く2回戦では敗退。復活ロードを歩む28歳にとって、それはトンネルを抜け出たとは言い難い状況だった。

 そうした中で迎えたのが今回の「ノルデア・オープン」である。

 エミル・ルースブオリ(フィンランド/43位)との1回戦、「立ち上がりは良くなかった」が、それでもフルセットの末に逆転。実に426日ぶりのツアー大会での勝利を飾った。すると続く2回戦では、第4シードのロベルト・バウティスタアグート(スペイン/20位)を、またもやフルセットの末に撃破。2021年5月のマドリード・オープン以来となる、14カ月ぶりの8強入りを果たした。
  迎えたセバスチャン・バエス(アルゼンチン/34位)との準々決勝。ティームは、今年4月のポルトガルでツアー初優勝を飾っている21歳を相手に第1セットを2−6で落とすも、第2セットは一歩も引かずタイブレークの末に7−6(5)で奪い返しセットオールに持ち込む。ファイナルセットは好調の相手に1ブレークを許し4−6で逃げ切られたが、内容は「惜敗」と呼べるものであった。

 試合後、ティームは「最後(ファイナルセット)はサービスゲームで少しグラついてしまった」と冷静に振り返るとともに、「ですが本当にいい試合ができました。先週から大きく改善されています。戦術面でも良かったと思います」と語った。

 今大会で8強入りを果たしたことで7月18日発表のランキングでは、現状の339位から70位近く上がることになることになったティーム。かつての居場所はまだまだ遥か遠くにあるが、それでも今の彼には、そこへ至る道筋が見えてきたはずだ。

構成●スマッシュ編集部

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