NBAの2022−23シーズンのサラリーキャップは1億2365万5000ドル(約170億6439万円)となり、ラグジュアリータックス(贅沢税)支払いを課される基準となるタックスレベルは1億5026万7000ドル(約207億3685万円)となった。

『SPOTRAC』のキース・スミス記者によると、現時点でタックス基準額をオーバーしているのは計11チーム。最も超過しているのはロサンゼルス・クリッパーズの約4170万ドル(約57億5460万円)で、続いてゴールデンステイト・ウォリアーズが約3650万ドル(約50億3700万円)、ブルックリン・ネッツが約3120万ドル(約43億560万円)で続いている。

 そんななか、現地時間7月16日(日本時間17日)にウォリアーズのジョー・レイコブ オーナーがアンドレ・イグダーラとエバン・ターナーがホスト役を務めるポッドキャスト番組「Point Forward」へ出演。

 イグダーラは昨季3シーズンぶりにウォリアーズへ復帰し、チームは4年ぶりにリーグを制した。現在、38歳の大ベテランはフリーエージェント(FA)で、今季の所属先が決まっていないものの、現役選手のポッドキャスト番組にチームオーナーがゲストとして登場するのは異例だ。
  ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンにアンドリュー・ウィギンズというオールスター経験者を4人も擁するウォリアーズは、ここ8年間で4度目の優勝を達成。しかし昨季チームはNBA史上最高額となる1億7000万ドル(約234億6000万円)ものラグジュアリータックスを支払っており、年俸総額は併せて3億4600万ドル(約477億4800万円)となった。

 ウォリアーズはドラフトで指名した選手たちを育成し、チームの看板選手へと成長させて優勝争いができる競争力を保持しているものの、年俸総額は年々跳ね上がっている。

「一番難しいのは、そういったことがすべてラグジュアリータックスへ回ってしまうこと。残念なことにね。本当のところ、我々はラグジュアリータックス(の支払い基準)を4000万ドル(約55億2000万円)ほど超えているだけだ。もちろん、これは決して小さなことではないが、膨大な金額というわけでもない。
 
 ただ、トータルで2億ドル(約276億円)となり、そのほとんどがラグジュアリータックスになってしまう。このポッドキャストを聞いてくれている人たちへ届くといいんだが、私はそのことがアンフェア(不公平)だと考えている。こう言ってしまうと私が利己的だと思われても仕方ないが、(ラグジュアリータックスは)非常に不公平なシステムだと思っている。というのも、このチームの上位8選手はいずれもこのチームがドラフト指名して構築しているからなんだ」
  ウォリアーズの現有戦力では、カリー、トンプソン、グリーンに加えてケボン・ルーニー、ジェームズ・ワイズマン、ジョナサン・クミンガ、ジョーダン・プール、モーゼス・ムーディーの8人がドラフトで指名した“オリジナル選手”(今年のドラフト選手は除く)であり、新陳代謝の激しい現代ではレアなケースとなっている。

 もちろん、ウィギンズのMAX契約については20年2月のトレードで獲得してウォリアーズが引き受ける形となり、スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)を中心としたコーチングスタッフ、そしてベテラン陣の貢献もあって昨季の優勝に大きく貢献する選手へと進化を遂げた。

「彼(ウィギンズ)についてはこの契約で批判を浴びてきたし、もらい過ぎと言われ、(我々は)悪いトレードをしたと見られてきた」とレイコブ オーナーは口にしたものの、昨季はオールスターに初選出され、プレーオフでも攻守で貴重な役割を果たし、評価を高めた。
  チームは来夏に制限なしFAとなるウィギンズとの延長契約、来夏に制限付きFAとなるプールとの延長契約も控えており、既存戦力をキープするためにはさらなる出費は避けられない。

 番組内でレイコブ・オーナーが贅沢税について「不公平なシステム」と評したことは、あくまで本人の意見で、全チームのオーナーが同意しているかは不明。ただ、ウォリアーズがドラフト指名したカリーやトンプソン、グリーンを育て、彼らを中心に4度も優勝を飾ったことは特筆すべきことだ。

 今後もラグジュアリータックス支払いのシステムが変わることはないだろう。レイコブ・オーナーとしては支払いの基準として、自チームがドラフト指名した選手のサラリーについて一部免除されるような例外条項を求めているのかもしれない。

文●秋山裕之(フリーライター)