現地時間7月20日、カリフォルニア州ハリウッドにあるドルビー・シアターにて、“スポーツ界のアカデミー賞”と評される『ESPY』の表彰式が開催された。

 アメリカのスポーツ専門局『ESPN』がその年に最も素晴らしい活躍を見せた選手やチームを表彰するこの一大イベントで、ゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーは「BEST NBA PLAYER賞」に選出。

 さらに、レイ・アレン(元シアトル・スーパーソニックスほか)が保持していた3ポイント記録を塗り替えた昨年12月のニューヨーク・ニックス戦が、「BEST RECORD-BREAKING PERFORMANCE賞」に輝いた。

 また、今年1月に大ケガから復帰したクレイ・トンプソンが「BEST COMEBACK ATHLETE賞」、そして4年ぶり7度目のNBAチャンピオンとなったウォリアーズが「BEST TEAM賞」として表彰された。

 この日、会場には司会も務めたカリーのほか、トンプソン、ドレイモンド・グリーン、アンドレ・イグダーラ、今夏ロサンゼルス・レイカーズへ移籍したファン・トスカノ・アンダーソンが駆けつけて写真撮影。
  そして現在、フリーエージェントで所属先が決まっていないイグダーラは壇上で「僕は自分のポッドキャスト番組、あそこにいるエバン・ターナーとやっている『Point Forward』を売り込むためにここへ来たんだ」と語って、チームメイトや会場に集まった観客を笑いへと誘った。

 ところが、イグダーラが「僕らがジョー・レイコブに罰金50万ドル(約6850万円)を払わせてしまった。ジョー、ごめんね」と続けると会場内は徐々に失笑。白い歯をのぞかせていたカリーやグリーンも苦笑いを浮かべた。

 16日にイグダーラのポッドキャスト番組へゲストとして出演したウォリアーズのレイコブ・オーナーは、リーグが定めるラグジュアリータックス(贅沢税)の支払いシステムについて不満を漏らしていた。

 これが19日にメディアを通じて広まったことで、翌20日になってNBAが公の場でリーグの規律を破ったとしてレイコブ・オーナーへ罰金処分を課したと、『ESPN』が報じた。
  ウォリアーズは昨季、NBA史上最高額となる1億7000万ドル(約232億9000万円)ものラグジュアリータックスを支払っている。年俸総額は併せて3億4600万ドル(約474億200万円)と、半分近くをラグジュアリータックスが占めていたこともあり、レイコブ・オーナーは番組内で次のように語っていた。

「本当のところ、我々は(現時点では)ラグジュアリータックス(の支払い基準)を4000万ドル(約54億8000万円)ほど超えているだけだ。もちろん、これは決して小さなことではないが、膨大な金額というわけでもない。

 ただ、トータルで2億ドルとなり、そのほとんどがラグジュアリータックスになってしまう。このポッドキャストを聞いてくれている人たちへ届くといいんだが、私はそのことがアンフェア(不公平)だと考えている。こう言ってしまうと私が利己的だと思われても仕方ないが、(ラグジュアリータックスは)非常に不公平なシステムだと思っている。なぜなら、我々のチームの上位8選手はいずれも自分たちがドラフト指名して構築しているからだ」
  ウォリアーズはカリー、トンプソン、グリーンのビッグ3をはじめ、ケボン・ルーニーやジョーダン・プール、ジョナサン・クミンガ、モーゼス・ムーディー、ジェームズ・ワイズマンと自らドラフト指名した“オリジナル選手”を中心に形成されており、彼らを育成しながら長年にわたって覇権争いができるチームを作り上げた。

 ただその代償として、年俸総額が膨れ上がっているのも事実。昨季の優勝に大きく貢献したアンドリュー・ウィギンズの契約は今季限りで、プールは来夏に制限付きFAとなるため、彼らをキープするためにはさらに莫大な金額が必要となる。

 NBAが今後このラグジュアリータックスのシステムを変える可能性があるかは微妙なところ。毎年支払っている年俸総額からすれば今回の罰金額は小さなものだが、NBAはレイコブ・オーナーの発言をどのように受け止めているのだろうか。

文●秋山裕之(フリーライター)