今夏ロサンゼルス・レイカーズはフランク・ヴォーゲル・ヘッドコーチ(HC)を解任し、ミルウォーキー・バックスでアシスタントコーチ(AC)を務めてきたダービン・ハムを新指揮官に迎え入れた。

 ハムのHC就任後、彼を支えるコーチングスタッフ候補として浮上していたのがラシード・ウォーレスだ。NBAで16シーズンをプレーしてきたウォーレスは、208cmと長身ながら3ポイントまで決められるシュート力を持つ一方で、審判へ文句を言ってテクニカルファウルを宣告されることも多々あった。

 だが“シード”には、センターも務められるほどのサイズと確かなスキル、そして自己犠牲を厭わないプレースタイルが備わっており、2004年にデトロイト・ピストンズでハムと共にNBAチャンピオンに輝いている。

 現役時代はレギュラーシーズン1109試合(先発956試合)の出場でキャリア平均14.4点、6.7リバウンド、1.8アシスト、1.0スティール、1.3ブロックを残し、4度のオールスター選出を飾ったウォーレス。

 引退後は2013−14シーズンに古巣ピストンズでAC、さらに昨季はメンフィス大でアンファニー“ペニー”ハーダウェイHCの下で一時期ACを務めたが、今年6月にペニーは地元紙にウォーレスは元々ハムの下でコーチングスタッフになる予定だったと明かしていた。
 「ラシードはダービン・ハムとLAに行くと思う。最初からそういう契約だったんだ。昨年ダービンが(HCへ)就任したら、ラシードは彼の下へ行くとすでに約束していた。今年彼がレイカーズで仕事を手にしたから、(ウォーレスは)そこへ加わると思う」

 ところが、現地時間7月25日(日本時間26日)にウォーレスはレイカーズのコーチングスタッフにはならないと『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者が報道。現時点でウォーレスは無所属となった。

 現役時代にウォーレスと何度もマッチアップし、09−10シーズンにはボストン・セルティックスでチームメイトとしてファイナルを経験してきたケビン・ガーネットは、6月11日に『SHOWTIME Basketball』の番組「KG Certified」へ出演した際に好敵手についてこう語っていた。

「シード・ウォーレスがビッグ・ハムと一緒にベンチにいる。それはレイカーにとって最高なことだと俺は思うね。というのも、アンソニー・デイビスには彼の持つ影響力が必要だからだ。いいか。ラシード・ウォーレスは俺たちのリーグでもベストなパワーフォワードの1人なんだ。彼には豊富な知識が備わっている。その知識をまだ世界へシェアしていない」
  1990年代後半から00年代において、ガーネットとウォーレスはリーグ屈指のパワーフォワードとしてコートで何度もマッチアップしてきた。そんな彼だからこそ、ウォーレスの凄さをよく理解しているのだろう。

「俺は彼(ウォーレス)と何度かバスケットボールについて語り合った。あの男は天才以外の何者でもない。いつブロックショットがやってくるのかもそうだし、スコアリングやディフェンスでも、何もかも熟知している。

 デイビスにとって最高の存在になると思うし、レブロン・ジェームズにとっても効果抜群だと俺は思うね。レイカーズにとって彼が加わることは凄くいいと思っている」
  昨季ウエスタン・カンファレンス11位の33勝49敗(勝率40.2%)と失意のシーズンに終わったレイカーズにとって、今季は汚名返上のシーズンとなる。特にデイビスは足のケガに苦しんでおり、過去2年連続でレギュラーシーズンの約半分を欠場している。

 好守に秀でたリーグ最高級のビッグマンとしての地位を確立しているデイビスが新たなレベルへ達するためには、ウォーレスの力が必要とガーネットは見ていたのだろう。

 ガーネットがここまで絶賛することは珍しいだけに、シーズン開幕前までにウォーレスがビッグマン育成コーチなど、何らかの形でレイカーズへ加入する可能性は十分にありそうだ。

文●秋山裕之(フリーライター)