前半戦、各チームで最も勝利に貢献したのは一体誰なのか。総合指標WARで各球団のトップ3を見ていこう。
 
 WARとは、打撃・走塁・守備・投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標で、野手も投手も同じ基準で評価できるのが最大の特徴。MLBではMVP投票などでかなり重視されている。では、セ6球団の前半戦WARトップ3は以下の通りだ。

【セ・リーグ】
●ヤクルト
1位:村上宗隆(3B) 5.9
2位:塩見泰隆(CF) 5.3
3位:山田哲人(2B) 3.3

 三冠王をうかがう村上はヤクルトだけでなく、12球団を通じても最高のWARを記録。33本塁打、89打点に加えてOPS1.118もリーグ2位の塩見に200ポイント以上の大差と、打撃での貢献度はまさに圧倒的だ。

 対照的に、塩見はリーグ最多21盗塁の足に加え、センターでの守備指標UZRで大きなプラスを計上。総合力で両リーグ2位のWAR5.3を稼いだ。ちなみに、投手チーム1位はオールスターにも出場した高橋奎二の2.4。前半戦のヤクルトは投手陣の健闘も光ったが、WARを見る限りはやはり野手陣の力が大きいことが分かる。
 ●阪神
1位:青柳晃洋(SP) 3.6
1位:近本光司(CF) 3.6
3位:中野拓夢(SS) 3.0

 青柳は勝利数(11)、防御率(1.37)に加えてWARも投手リーグ1位。15先発中QS(クオリティ・スタート)が何と14試合と抜群の安定感を発揮している。その青柳と同じ貢献度を発揮したのが近本だ。打率.302をマークしているものの、OPSは.713にすぎない。だが、リーグ2位の19盗塁を決め、守ってはセンターで両リーグ1位のUZR7.6をマークするなど、総合力で野手リーグ3位のWARを記録している。

 中野も近本と同様に守備と走塁で大きなプラスを叩き出した。一方、チーム最多&リーグ3位の20本塁打を放った大山悠輔は2.0。打率(.251)や出塁率(.341)が平凡な点、守備と走塁での貢献があまり高くないことが響いた格好だ。

●広島
1位:坂倉将吾(C/3B) 2.6
1位:大瀬良大地(SP) 2.6
3位:西川龍馬(OF) 2.5

 今季はチーム事情で主に三塁で出場している“大型捕手”坂倉、5月月間MVPの大瀬良がWAR2.6でチームトップに立った。この24歳は三塁・捕手ともに守備指標は低調ながら、持ち前の打撃力に加えて優れた走塁能力でも貢献。盗塁以外の走塁貢献度を示すUBRでは、リーグ5位の2.7を記録している。

 西川は、開幕から打撃好調でチームを牽引していたが、下半身のコンディショニング不良で6月5日に登録抹消。もし離脱していなければ、相当に数字を伸ばしていた可能性もある。ちなみに、床田寛樹(2.4)、森下暢仁(2.3)の貢献度もまずまず。後半戦のパフォーマンス次第ではチープトップに立つ可能性は十分ある。
【動画】「ヤクルトにも神がいた」“最強”・村上宗隆が圧巻のホームラン●DeNA
1位:牧秀悟(2B) 2.4
2位:今永昇太(SP) 2.3
2位:大貫晋一(SP) 2.3

 5月の月間MVPに輝き、6月6日時点でリーグ1位の打率.333、46打点をマークしていた牧がトップ。ただし、6・7月に打撃不振に陥ったのに加えて、二塁でのUZRが両リーグワーストの−9.0に沈み、思ったほどにはWARを稼げていない印象もある。

 2位は故障で出遅れながらも6月8日の日本ハム戦で球団52年ぶりのノーヒッターを達成した今永と、チーム最多イニング(87.2回)を積み上げた大貫は入った。前半戦リーグ1位の打率.331を記録した佐野恵太は2.1でチーム4位、野手でも21位だった。

 理由は(今年に限った話ではないが)、守備でのマイナスが大きいこと。今季もレフトを200イニング以上守った両リーグ18選手のうちワーストのUZR−5.5を計上しており、打撃のプラス面を大きく損なってしまっている。
 ●巨人
1位:戸郷翔征(SP) 3.3
2位:吉川尚輝(2B) 3.0
3位:坂本勇人(SS) 2.2

 菅野智之に代わって新エースに台頭した戸郷がチームトップの貢献度を発揮した。前半戦はリーグ2位タイの3完投、7月12日阪神戦ではプロ初完封を挙げ、WAR3.3は投手両リーグ5位の高水準に達している。

 2位の吉川はこれまで故障に泣かされてきたが、今季は好調な打撃を維持しながら、二塁手リーグ1位のUZR6.7とさすがの好守を発揮した。リーグ2位の21本塁打を記録した岡本和真は1.8、同4位の丸佳浩とウォーカーはそれぞれ2.1、1.4にとどまった。岡本は平凡な出塁率、丸とウォーカーは守備でのマイナスが響き、3度も故障離脱した坂本の後塵を拝する結果となった。

●中日
1位:柳裕也/2.7
1位:岡林勇希/2.7
3位:大野雄大/2.5

 柳は6勝7敗、大野も4勝6敗と負け越しているが、WARが評価するのは「内容面」。ともに105イニング以上を投げながら、投手がコントロールできる3要素(奪三振・与四球・被本塁打)を評価したFIPも上々とあって、投手WARはそれぞれリーグ3位、6位に入っている。

 野手ではレギュラー1年目の新鋭・岡林が光った。攻撃面での貢献度は決して高くないが、ベースランニングでの得点貢献を示すUBRは両リーグ1位の4.6、外野でのUZR11.9も全ポジションで両リーグ3位という、球界屈指の守備・走塁能力が数字を押し上げている。ちなみに、投手へ電撃転向した根尾は、まだ9.1イニングしか投げていないとあって、WARは0.2にとどまっている。

構成●SLUGGER編集部
データ提供●DELTA

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