F1フランス・グランプリにおいて、アルファタウリの角田裕毅は予選で見事なパフォーマンスを披露して久々のポイント獲得が期待されながら、オープニングラップでのもらい事故で失意のどん底に突き落とされた。現在は、今週末に行なわれるハンガリーGPでの巻き返しを誓って準備に余念がない。

【関連記事】角田裕毅、フランスGPの出来に海外メディアは概ね高評価! 優勝したフェルスタッペンと同採点の「8.5」も 今季は序盤から非常に冷静で安定したドライビングが目立ち、その成長ぶりが各方面から評価されていたが、車のトラブルや予期せぬアクシデントが頻発すると、徐々に自身のミスも目立つようになり、カナダGP、イギリスGPでは好成績の可能性を自らフイにしてしまい、批判を受けるようになった。

 そのタイミングで、レッドブルのヘルムート・マルコ顧問が、無線での罵声などによって感情を乱すことがパフォーマンスに悪影響を及ぼしているとして、心理学者をつけて感情のコントロールの改善に取り組んでいることを発表したこともあり、再び22歳の日本人ドライバーにはネガティブなイメージがつきまとうようになっていたが、失意の週末となったフランスGPでの予選のドライビングは、彼への評価を一変させるほどに見事なものだった。

 再び評価を取り戻した角田は先日、ポッドキャスト『In The Fast Lane』に出演し、ルーキーイヤーの昨季を振り返って、F1デビュー戦となった開幕戦バーレーンGPで多くの見せ場を作って入賞を果たした後、続くエミリア・ロマーニャGPの予選でいきなり派手なクラッシュを演じたことが、その後の彼から自信を奪い去り、非常に苦しんだことを告白している(オランダのF1専門サイト『F1MAXIMAAL.NL』より)。

「バーレーンでのレースがうまくいったことで、過剰なほどに自信が高くなってしまいました。あんな大きなクラッシュは、それまで一度も経験したことありませんでした。そのため、次のセッションで車に乗ると、すぐにクラッシュの瞬間がフラッシュバックしてきました。その後、自信を取り戻すために幾つかのことを試みましたが、なかなかうまくいきませんでした」
  その後、レッドブル・グループは角田をイタリアに住まわせて、常にチームに近い位置に置いてF1に集中させ、また彼自身もそれまでの生活を改めてトレーニングに励んだことで、シーズン終盤にはドライビングが安定し、最終戦のアブダビGPでは見事なパフォーマンスを発揮して4位入賞(シフトチェンジのミスがなければ表彰台も可能だった)という自己最高記録を達成したことは周知の通りである。

「チームは僕に多くの時間を与えてくれて、大いに助けてくれました。そして今、僕は自信を持っており、昨季のバーレーンGPの時よりもさらに良くなっています。長い時間がかかりましたが、ここまでですでに、僕は最悪の事態のほとんどを経験しました。ドライバーとして、昨季よりも一歩も二歩も前進していると思います」
  このように、はっきりと自信がついていると断言した角田。この数レースでは精神的にダメージを負うような場面や結末が多く、また前述の心理学者の件について「効果が出ているなら、イギリスGPでのインシデント(同僚のピエール・ガスリーを抜こうとして接触し、ともにスピン)はなかった」と彼自身が語ったこともあって、心配する声も少なくなかったが、ポッドキャストでのコメントが本当であれば、頼もしい限りである。

 ところでフランスGPでは、F1決勝が行なわれる前のポール・リカールに『君が代』が響き渡った。F2のフィーチャーレースで岩佐歩夢(DAMS)が後続を大きく引き離しての初優勝を飾ったからだ。このレッドブル・ジュニアチームに所属する20歳は、2020年に18歳で欧州に上陸し、フランスF4を圧倒的な強さで制し、21年はFIA・F3で10戦目に優勝(年間ランキング12位)、そして今季はF2と、角田同様のスピードでカテゴリーを駆け上がっている。

 多くの海外メディアが「目覚ましい進歩を遂げている」「F2で傑出した存在」と岩佐を称賛しているが、日本人、レッドブルということで、自然と角田との比較論が生まれ、フランスのF1専門サイト『F1i-Auto Journal』などは「有望な日本人F2ルーキーが角田に取って代わる?」と題した記事で、「角田に価値がないわけではないが、彼はキャリアにおいて多くのポイントを獲り逃している。一方、岩佐は昨季のF3で最高のルーキーであり、F2に昇格した今季もすでにロングランの勝者となっている」と綴っている。

 レッドブルやアルファタウリからの角田への評価は今なお高く、現時点で日本人同士のドライバー交代の可能性は非常に低いと思われるが、“先輩”としては、テクニカルなハンガリーのコースで結果を残し、実力に対する猜疑心や、去就に関する憶測を全て消し去りたいところだろう。様々な見地からも、このサマーブレイク前の最後のレースには要注目である。

構成●THE DIGEST編集部
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