現地時間8月4日から今季最後の海外メジャー『AIG全英女子オープン』が開幕する。周知のとおり、2019年には、渋野日向子(サントリー)が躍動。日本勢としては1977年『全米女子プロゴルフ選手権』の樋口久子氏以来となる、42年ぶりの海外メジャー制覇を果たした。

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 当然のように日本国内が大騒ぎとなり、その後、国内女子ツアーのトーナメント会場では、渋野を目当てに大勢のギャラリーが押し寄せた。「スマイル・シンデレラ」とも呼ばれるなど、ちょっとした“シブコ・フィーバー”が巻き起こった。

 あれから3年が経過した今季、渋野は念願だった米女子ツアーのメンバーとして戦っている。いまだ優勝こそないが、海外メジャー初戦『シェブロン選手権』で4位タイ、『ロッテ選手権』では単独2位に食い込んだ。CMEグローブランキングも545.625ポイント(36位)を稼ぎ、すでに来季のシード権をほぼ確定させている。
  ただ、棄権した『全米女子プロゴルフ選手権』を除き、直近の7試合中6試合で予選落ちしている点は、やはり気になってしまう。今季初戦から6戦目まで一度も予選落ちがなかっただけになおさらだ。普通に考えれば、肉体的、精神的に疲労が蓄積していてもおかしくはない。

 昨年のQTが20位だったために、今季の試合数には、ある程度出場できると約束されていた。しかし、具体的に何試合出場できるのかは明らかになっておらず、できるだけ早めに来季のシード権を確定しておきたいところではあった。

 序盤戦はそのような緊張感もあり、まずまずの成績で無事にシード権ラインをクリアしたが、その代償は小さくなかったと思われる。コースセッティングが厳しく、選手層も厚い米女子ツアーで上位に入るには、ちょっとした油断も許されない。メンタルだけでなく、フィジカル的にも楽ではなかったはずだ。

 シード獲得がほぼ決まったことで、その緊張感が解け、本来のゴルフができなくても不思議ではないだろう。それでも、不調の時期を長く感じるのは否めない。 渋野のゴルフを数字的に見ると、今季初の予選落ちを喫した『パロスバーデス選手権』終了時点では、パーオン率が72.44パーセント(27位)、フェアウェイキープ率が78.29パーセント(32位)だった。しかし、現在はパーオン率が70.47パーセント(48位)、フェアウェイキープ率が78.79パーセント(34位)となっている。

 パーオン率が若干落ちたが、フェアウェイキープ率の数字はむしろ上がっている。渋野のスイングについてはさまざまに論じられているが、レベルの高い米女子ツアーでこの数字ならとくに問題はないだろう。

 ただ、平均パットが30.12(95位)から30.51(116位)まで落ちてしまったのはいただけない。やはり、米国で生き残るにはパッティングがある程度上手くなければ難しいからだ。ちなみに、畑岡奈紗は29.35(15位)、笹生優花は29.63(26位)、古江彩佳は29.69(31位)となっている。

 できれば、渋野も29台にまで上げてほしいところ。予選落ちした『アムンディ・エビアン選手権』でパットに泣き、前週の『スコットランド女子オープン』でも2日目に3パットを3回喫している。「パッティングの練習はやっておかないと。ショットはクラブを振る練習と引っ掛けのミスを防ぐ練習をしておきます」と語っていたが、パットが不振という自覚があることがせめてもの救いだ。
  歴代チャンピオンである『AIG女子オープン』では注目を集めるのは必至。リンクスコースとは当初あまり相性がよくなかったが、最終的に34位タイになった昨年大会では、2日目を終えた時点で首位と3打差の12位タイと粘っていた。

 今年はリンクスでも屈指の難易度を誇るミュアフィールドが舞台となるが、いくら世界のトップが集まるといえ、そう簡単に好スコアが出るコースではない。どこまで我慢できるかが上位に行けるかどうかのポイントになりそうだ。

 渋野の場合、周囲の期待がそれほど大きくないときに好結果を出す傾向があるものの、まずはしっかりと決勝ラウンドに進むことが先決だろう。

文●山西英希 
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、07年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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