現地時間8月2日のトレード・デッドラインまでに、ロサンゼルス・エンジェルスは小さくない動きを見せた。

 ノア・シンダーガードをフィリーズ、昨オフに延長契約を結んだばかりの守護神ライセル・イグレシアスをブレーブスへ放出。そして将来が期待されてきた若手外野手ブランドン・マーシュをシンダーガードとは別の交渉でフィリーズへとそれぞれトレードしたのである。

 昨オフに1年契約で加入したシンダーガードの放出は、アメリカン・リーグ西地区4位に沈む現状から鑑みても既定路線ではあった。しかし、24歳と若く、将来性が見込まれていたマーシュの放出は「予想外」と話題となった。

 一方でエンジェルスはビッグスターの残留も決意した。大谷翔平のそれである。

 来オフでFA(フリーエージェント)となる大谷の動向を巡っては、さまざまに噂が飛び交った。米紙『New York Post』のジョン・ヘイマン記者のレポートでは、ニューヨーク・ヤンキース、サンディエゴ・パドレス、シカゴ・ホワイトソックスがエンジェルスと接触したとすっぱ抜かれ、今夏のトレードの可能性は土壇場まで注目されていた。

 もっとも、エンジェルスはペリー・ミナシアンGMが「立て直しはオオタニとトラウトを中心に」と公言してきた通り、球界で唯一無二の二刀流戦士を軸とした編成プランを実行した形。こちらもシンダーガードの放出と同様に既定路線と言えるかもしれない。
  しかし、ファームの人材が枯渇気味というなかで、ロースターの再構築という目的を果たせなかったのも事実だ。ゆえに今夏のトレード市場におけるエンジェルスの身の振り方には厳しい意見が強まっている。米スポーツ・メディア『Barstool Sports』は「エンジェルスのオオタニ残留という決断はビジネス的には良い。だが、野球的には最悪だ」と酷評した。

 まず、同メディアは今季も44勝59敗と大きく負け越しているエンジェルスについて、「ビジネス面では非常に有望だ。オオタニとトラウトに金を払わない野球ファンはいない」とバッサリ。そのうえで、今夏の大谷残留について、こう論じた。

「エンジェルスの決断は少なからず理解はでき、球団のビジネスの観点から見れば、理にはかなっていると言える。そもそもオオタニのような選手の見返りに十分なトレードができる球団は限られている。だが、野球的にはエンジェルスは若手を取り逃したうえに、彼のプレーオフ進出が叶わない可能性が高いという現状を打破する術を見出せなかったのは、最悪なことだ」

 さらに「このオフにオオタニがトレードされても驚きはない」と断言した同メディアは、「オオタニには市場における絶大なる価値がある。野球にありとあらゆる影響をもたらす彼が、ドジャースやメッツ、ヤンキースでプレーした場合にどれだけの反響が出るかは期待せずにいられない」とした。

 エンジェルスの大谷残留の決断は、吉と出るのか、はたまた凶と出るのか。引き続き、彼らの編成動向は注目を集めそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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