今年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻はスポーツ界に大きな影響を与えており、無論テニス界も例外ではない。特筆すべきは先の「ウインブルドン」で講じられたロシア・ベラルーシ人選手への出場禁止措置だ。

 これまでに5000人以上の市民が犠牲となった今回の紛争を受け、ウインブルドンを主催するオールイングランド・テニスクラブは4月にイギリス政府と連携する形で2国の選手の除外を決定した。ちなみにベラルーシ人選手が締め出しとなった理由は、同国がロシアの軍事攻撃を支援してきたからだ。

 これによりテニスの聖地でプレーできなかった選手の1人が、ベラルーシ国籍で2度のグランドスラム優勝を誇る女子元世界1位のビクトリア・アザレンカ(33歳/現20位)だ。だが彼女自身は出場を強く望んでいたという。

 WTA(女子テニス協会)選手評議会のメンバーでもあるアザレンカは米テニス専門メディア『Tennis.com』のインタビューで、ウインブルドンが下した出場禁止の決定を「軽率でひどいものだった」と痛烈に批判。「その決定によって人々はスポーツがいかに団結できるのかを示せる機会を失ってしまったと思う」とも主張した。
  実は以前アザレンカと同様にウインブルドン出場を禁じられた男子世界8位のアンドレイ・ルブレフ(ロシア)が「自分や仲間がプレーできるようにウクライナの選手とダブルスを組むことを含めて主催側に解決策を提示した」と話していた。アザレンカは「そういう話はあったけど無視された」と告白した上で、以下のような事実を明かした。

「私は困難な状況から解決策を見出すのが好きだけど、大変だったのは、相手の疑う余地のないほどの無知と怠慢だった。ちゃんと自分の意志をもって選択肢を提示したのに、『私たちには関係ない』と言われてしまうのだから」

 それでもアザレンカは厳しい状況のなかでも自分ができることをやっていきたいと考えているようだ。複雑な心境をのぞかせつつも「みんな前に進んでいく。人を助けるということに関して、私の見方や捉え方が変わることはなかったし、これからも変わることはないと思うわ。これからも前に進むだけね。私たちの手でスポーツが団結するところを見せられたらと思う」と語っている。

 なおアザレンカは現地8月2日に行なわれた女子テニスツアー「シティ・オープン」(8月1日〜7日/アメリカ・ワシントン/ハードコート/WTA250)のシングルス1回戦に出場し、ダヤナ・ヤストレムスカ(ウクライナ/77位)に6−4、6−0で快勝。2回戦ではテレサ・マルチンコワ(チェコ/73位)と対戦する。

文●中村光佑

【PHOTO】アザレンカをはじめ全豪オープン2022で活躍した女子選手の厳選ショット!