マイアミ・ヒートは昨季、イースタン・カンファレンス首位の53勝29敗(勝率64.6%)でレギュラーシーズンを終え、満を持してプレーオフを迎えた。

 1回戦でアトランタ・ホークスを5戦で退け、カンファレンス・セミファイナルではフィラデルフィア・セブンティシクサーズを4勝2敗で撃破。しかし、ボストン・セルティックスとのカンファレンス・ファイナルでは最終第7戦にもつれた末、最後は4点差で落としてあと一歩でNBAファイナル進出を逃した。

 ジミー・バトラー、バム・アデバヨの両輪に加え、最優秀シックスマン賞に輝いたタイラー・ヒーロー、ヴィクター・オラディポにゲイブ・ヴィンセント、マックス・ストゥルースといった選手たちが奮闘した一方で、不完全燃焼に終わったのがカイル・ラウリーだ。

 一昨季まで9シーズンを過ごしたトロント・ラプターズを退団し、昨年オフにヒートに加わったラウリーは、レギュラーシーズン63試合の出場で平均13.4点、4.5リバウンド、7.5アシスト、フィールドゴール成功率44.0%、3ポイント成功率37.7%をマーク。だがプレーオフではハムストリングの張りに悩まされたこともあり、平均7.8点、3.6リバウンド、4.7アシスト、フィールドゴール成功率29.1%、3ポイント成功率24.1%と苦しんだ。
  プレーオフ敗退後、エリック・スポールストラHC(ヘッドコーチ)は「カイルは次のトレーニングキャンプにキャリアでもベストなシェイプで戻ってくると思う」と期待。

 球団社長のパット・ライリーも「カイルはさまざまな理由から困難なシーズンを送った。ケガもあったし、個人的な事情もあった。だが選手たちはワールドクラスのシェイプでなければならない。そうあるべきなんだ」と、苦しいシーズンに理解を示しつつも、コンディショニングについて指摘していた。

 そんななか、8月3日に現地紙『The Fresno Bee』へ公開された記事の中で、ラウリーは昨季苦しんだ要因について自身のコンディショニング以上に、個人的な事情によって離脱を余儀なくされ、チームメイトとのケミストリーを構築しきれなかったことを挙げている。
  36歳のベテランガードは昨シーズン中、足首やヒジ、新型コロナウイルスの安全衛生プロトコル入りで戦列を離れたほか、1月中旬から約2週間、さらに2月末から3月上旬にかけて約1週間を家庭の問題によってチームから離脱していた。

「僕は今でもそのことに対処しているところなんだ。状況が好転したら、皆の前でもっと話すよ。でも昨シーズン全体を狂わせた要因、長い間にわたって脱線してしまった要因はそれなんだ。今でも毎日なんらかの形で向き合っているよ」

 ラウリーとしては一日でも早く新天地へ馴染み、2度目のチャンピオンシップ獲得に集中しようとしていたものの、家庭の問題が足かせになってしまっていたようだ。
 「それが人生ってやつだ。人生には上手くなり続けていかないといけないこともある。自分でコントロールできることにフォーカスしないといけない」

 新シーズンのトレーニングキャンプまでに、ラウリーが抱えている問題が解決するかどうかはわからない。ただ、ラプターズ時代からリーダーを務め、反骨精神を力に戦ってきた男だけに、2年続けて不甲斐ないシーズンを送ることは誰よりも本人が許さないだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)