ルカ・ドンチッチが昨年に続き、精力的なオフシーズンを送っている。

 ダラス・マーベリックスの若きスーパーエースは、昨夏スロベニア代表として五輪最終予選でプレーし母国に東京行きの切符をもたらすと、本戦でも平均23.8点、9.7リバウンド、9.5アシスト、1.2スティール、1.0ブロックと大車輪の活躍を見せて大会4位へと導いた。

 その後迎えたNBA4年目のシーズンも平均28.4点、9.1リバウンド、8.7アシストと躍動。3年連続のオールスター選出&オールNBA1stチームに名を連ねた。

 プレーオフでは3度目の挑戦で初のファーストラウンド突破を果たすと、カンファレンス・セミファイナルではフェニックス・サンズを4勝3敗で撃破。カンファレンス・ファイナルではゴールデンステイト・ウォリアーズに1勝4敗で敗れたものの、プレーオフ平均31.7点、9.8リバウンド、6.4アシストと暴れ回り、改めてリーグ最高級の選手であることを見せつけた。
  迎えた今オフ。ドンチッチはプレーオフ敗退から約1か月後にスロベニア代表へ合流すると、イタリアとの親善試合、ワールドカップ欧州予選出場と、ハードなスケジュールをこなしている。

 さらに9月1日に幕を開ける「FIBAユーロバスケット(欧州選手権)2022」にも出場予定。今夏はその姿がたびたびSNSで拡散され、引き締まった肉体を維持している様子がうかがえる。

 昨年のオリンピック後には3週間のオフをとり、「ちょっとリラックスしてしまった。本来の正しい状態に戻さないと」と語っていたドンチッチ。公称104kgながら、トレーニングキャンプには260ポンド(約118kg)近くのオーバーウェイトで現われたとも米放送局『ESPN』が報じていた。

 その反省もあったのだろう。8月4日に現地メディア『SportKlub』へ公開された記事の中で、スロベニア代表チームでトレーナーを務めるアンセ・マセックは今夏のドンチッチの良コンディションぶりを明かしている。

「シーズン終了直後、彼が私に連絡してきたんだ。すぐにでもコンディショニングを始めたいとね。そこでゴラン・ドラギッチ(スロベニア代表/現シカゴ・ブルズ)と一緒に、彼らは3週間過ごしたんだ。代表チームの活動はそこから始まった。彼はバケーションの時でも私にトレーニングのプランについて聞いてきたよ。動ける状態を保つためにね。今ではほぼ毎日のようにコンタクトを取っているんだ。彼はいいシェイプをキープできているね。代表チームのトレーニングでも向上していくさ。今の彼は最大限の努力をして準備しているよ」 プレーオフの大舞台で、マイケル・ジョーダン(元ブルズほか)のキャリア平均33.5点に次ぐNBA歴代2位の同32.5点を残すドンチッチは、オフェンス面ではすでに現役トップクラスの実力者と言っていい。

 ただ、昨プレーオフでウォリアーズに完敗したことで、「僕はディフェンスをもっと向上させないといけない。正直、今シーズンの僕はディフェンスで大きな一歩を踏み出せたとは思う。でもまだまだ向上の余地があるんだ。それがこのチームを次のレベルへと引き上げる要素になると思う」と話していた。
  現代NBAではマッチアップ相手を入れ替えるスイッチが頻繁に起こり、ミスマッチを作り出して攻める戦術が定番化している。ドンチッチは昨プレーオフで何度か標的にされていただけに、守備面を向上させるための第一歩として、コンディショニングにフォーカスしているのだろう。

 来月のユーロバスケット、そしてNBA5年目に向けて、23歳の神童がさらなる進化を遂げた姿を見せてくれると期待は高まるばかりだ。

文●秋山裕之(フリーライター)