米球界の“盟主”は当代で唯一無二の二刀流戦士の獲得に乗り出していた。しかし、彼らの熱烈なオファーは、あえなく断られてしまった。

 現地時間8月2日にトレード期限を迎えたMLB。各球団があらゆる動きを見せ、大物選手たちの移籍も目立った今夏で、小さくない注目を集めたのは、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の動向だった。

 もっとも、大谷のトレードは、再建途上にある球団が主力の売りに回るのが、常であるMLBの論理からすれば、自然な流れではあった。今季のエンジェルスはアメリカン・リーグ西地区4位と低迷。来オフにFA(フリーエージェント)となる偉才は、若手有望株を複数枚獲得できるだけの価値が十分にあった。

 はたして、「12球団が持ち掛けた」(米紙『New York Post』のレポートより)交渉は暗礁に乗り上げた。米メディアの敏腕記者ジョン・ヘイマン氏によれば、「オファーに耳を傾ける気が一切なかった」というエンジェルスのアルベルト・モレーノオーナーが、大谷の放出を断固として拒否する姿勢を見せたのである。
  グッズやチケット収入などビジネスの観点、マイク・トラウトらが欠場中の戦力的観点から見ても、大谷の残留は理にはかなっている。今彼を欠けば、エンジェルスは一気に瓦解しかねないのは確かだった。

 しかし、現地メディアでは大谷の残留は懐疑的にも論じられている。日夜、ヤンキースの情報を発信している地元紙『New Jersey Local News』は、「ヤンキースにチャンスなんてなかった」とヘイマン氏のレポート内容を交えたうえで、熾烈を極めた大谷の“トレード狂騒曲”を「から騒ぎだった」と皮肉った。

「さまざまな噂が飛び交ったオオタニのトレードに関する話題。だが、結局のところ、モレーノオーナーはオファーを聞き入れるつもりなどなく、交渉は一切軌道に乗らなかった」

 繰り返しになるが、大谷は23年シーズン後にFAとなる。ゆえに来夏はエンジェルスが再建に向けた動きを加速させるかもしれない。もしも、そうなれば、ライバル球団たちが今年以上に本腰を入れて、交渉レースを展開させる可能性は高そうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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