剛腕から放たれたボールは、唸りをあげるかのように鋭く、相手打者もことごとく翻弄された。現地時間8月7日に行なわれたアトランタ・ブレーブス戦で、今季初勝利を飾ったニューヨーク・メッツのジェイコブ・デグロムである。

 昨年7月に右前腕の張りとひじの挫傷により離脱し、今季も春先に右肩甲骨の炎症が判明。復帰が大幅に出遅れていたデグロムは今月2日(現地時間)に行なわれたワシントン・ナショナルズ戦でようやくメジャー登板を果たしたばかりだったが、2戦目にしてその力は遺憾なく発揮された。

 ギアは初回から全開だった。1死無塁で迎えた強打者マット・オルソンには、カウント1-2と追い込んでからの4球目、内角低めに101.6マイル(約163.5キロ)の4シームを投げ込む。浮き上がるかのような一球に昨季39本塁打のスラッガーも思わず空振りした。ちなみにこの1球は、デグロムが三振を奪った球としてはキャリア最速となった。

 その後も胸のすくような投球を続けた34歳の右腕は、結局、5回2/3で降板するまで12奪三振を記録。約1年1か月ぶりとなる白星を手にした。
  この日の最速は4シームが102マイル(約164.1キロ)、スライダーが96マイル(約154.4キロ)、チェンジアップが93マイル(約149.6キロ)と軒並みハイスピードをマーク。文字通り完全復活を印象付けたデグロムは、MLB史上でも達成者の少ない“快記録”も残した。

 地元放送局『Sports Net New York』によれば、この試合でデグロムは2桁奪三振を記録するのに、わずか56球しか要さなかったのだが、56球以下で10奪三振以上を記録したのは、MLB全体で大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)に次ぐ史上2人目の快挙だった。

 そしてこの試合が節目の200登板目となったデグロムは通算1523奪三振も達成。これはダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)を抜き、200試合目における奪三振数のメジャー記録となった。

 試合後に「少しだけ感傷的にはなった。あのマウンドに立つのは1年ぶりだったからね」と語ったデグロム。100マイル(約160.9キロ)を超える4シームを連発し、相手チームにとっては驚異でしかない剛腕エースが舞い戻った。

構成●THE DIGEST編集部

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