現在、プロとして活躍している選手も、現役を引退してコーチをしている人も、小さい頃には憧れのプロがいたはずだ。【プロが憧れたプロ】シリーズの第25回は、昨年、早稲田大学を卒業してプロになった倉持美穂選手だ。

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 倉持が頭角を現したのは割と遅めだ。大学4年だった2020年に関東学生テニストーナメントを制覇。それまで優勝争いとは無縁だった彼女は、初めての学生タイトルを手にした。そして翌年、プロ転向。

 倉持がプロを目指す決心をするのに、大きな影響を受けた選手がいる。11歳上の早大の先輩、ダブルス巧者として世界で活躍する青山修子だ。

「私が学生の頃、2回ほど一緒に練習していただいたことがあるんです」と倉持は記憶をたどる。「その印象が強烈でした。練習に取り組む態度とか、一球一球の気迫がすごくて、ビックリしたのを覚えています」

 2回のうち1回は早大のコート、もう1回はナショナルトレーニングセンターで練習したそうだが、青山が早大に来た時は練習の雰囲気ががらりと変わり、緊張感がピンと張り詰めたという。

「直接打ってもらったり、ダブルスのポーチを教えていただきました。見本として見せてくれたフットワークがすごくて!」

 衝撃を受けた倉持は、その時に初めて「自分もプロになりたい。青山さんみたいに試合を回りたい」という思いが湧き上がったという。
  2度目に練習したのは、大学3年で進路をどうするか考えていた時だった。倉持は青山にプロへの思いを伝え、色々な話を聞かせてもらった。その結果、プロになることを決意した倉持にとって、青山は単なる憧れではなく、「自分の人生に影響を与えてくれた人」でもある。

 プロになった倉持は、この1年余りで大きく成長した。国内ツアーでは関東オープン、神奈川インドア、東海中日、東京オープンで立て続けに優勝。大学卒業時には73位だった日本ランキングを、今年の春には32位までジャンプアップさせた。その目は海外へと向き、これまでにITFツアーのダブルスで2度優勝するなど結果を出し始めている。

「海外のツアーで勝って、ランキングを上げて、グランドスラム予選などに出る選手になりたい」と語る倉持。そして、テレビで見ている上の世界で青山と対戦する夢を思い描く。

「戦うには、こっちがあの舞台に上がっていくしかないので」

 憧れの選手は今、最高の目標にもなっている。

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)
取材協力●SBC Dream Tennis Tour 2022

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