ドイツで活躍を見せる日本人選手が増えてきている。まずは現在、ブンデスリーガとブンデスリーガ2部に所属している選手を見てもらおう(カッコ内は昨季のチーム順位)。

【ブンデスリーガ】
ウニオン(5位) 原口元気
フライブルク(6位) 堂安律
フランクフルト(11位) 長谷部誠、鎌田大地
ボルシアMG(13位) 板倉滉
シュツットガルト(15位) 遠藤航、伊東洋輝
シャルケ(2部1位) 吉田麻也

【ブンデスリーガ2部】
ビーレフェルト(1部17位) 奥川雅也
デュッセルドルフ(2部5位) 田中碧、アペルカンプ真大、内野貴史
ハノーファー(2部14位) 室屋成
マグデブルク(3部1位) 伊藤達也

 遠藤と伊藤は昨季から名門シュツットガルトで不動のレギュラーに。鎌田や原口も欠かせない戦力として活躍。今季から新天地を求めた堂安と板倉も移籍直後からレギュラーポジションを獲得しており、吉田に至っては第3キャプテンだ。38歳となる長谷部も今年2月に2027年6月までの延長契約を締結。今でも堂々たるプレーぶりを見せている。

 2部でも日本人選手の活躍は顕著だ。奥川は攻撃の切り札であり、田中はチームの主軸。チーム生え抜きでもあるアペルカンプはクラブの期待を背負っている。

 また、最近ではシュツットガルトU-23に尚志高から入団したチェイス・アンリに加え、岡田玲、そしてマインツU-23には水多海斗がそれぞれ所属。とりわけ水多はプレシーズンの多くをトップチームで過ごし、合宿にも同行。試合にも出場してアピールの機会を得た。
  シュツットガルトのようにセカンドチームのあり方を見つめ直したチームは少なくない。将来的にトップチームでデビューしうる資質を持った選手を中心に選手を集めている彼らが獲得したという事実は、選手への確かな評価を物語っている。

 では、日本人のどこをドイツ人指導者たちは評価しているのだろう。よく耳にするのは、『ハードワークは当たり前』『チームのために全力を尽くす』『学習意欲が高く、学習能力も高い』『プロフェッショナルな姿勢』だ。

 ただ、以前までは、そうした気質と実際にピッチ上で見せるプレーとの間に開きがあったのも確かだった。

 一時期、ドイツの指導現場における日本人選手の評価は「技術レベルは高いけど実践向きではない」という声が少なからずあった。いや、訂正しよう。ほとんどがそうだった。実際、指導者仲間でもある元ドイツ代表DFのルーカス・シンキビッツは、僕にこう漏らしていた。

「日本人は育成をよくしすぎている。でも、言われたことしかやらない選手ばかりになっていないか?」

 監督が「A」という指示を出したら「A」をやる。でもそれは「B」をやるなというわけではない。試合の流れや状況に応じて、持ち場を離れてでも対処しなければならないプレーが必要になる局面はある。

 日本人的に黙って、文句を言わず取り組んでいくという姿勢が、欧州の指導者や選手には違和感となっていたのは否めない。そうした「それは自然と身についていることだよね?」という誤解が生じてしまったがために、本領発揮ができないままヨーロッパを去る選手もいたはずだ。 僕らは先入観を持っているため、馴染みのある方程式で事象を観察してしまう。

 欧米人には欧米人のボディーランゲージに対する解釈がある。ちょっと肩を落とし、地面を見ながら歩いているだけで、がっかりしている、へこんでいると思われてしまう。本人的には普通に歩いているつもりでも、「落ち込むな!」と声をかけられた経験は僕も何度もある。

 あるいは「常にダッシュをしていないとやる気がない」とか「闘争心がない」なんて見られた経験もある。でも、それは「ない」からしないわけではなく、出し方が人によっては違うというところでの共通認識が持てていないだけだったりするのだ。

 例えば、鎌田大地のひょうひょうとした動きは、ドイツにやってきた当初、「無気力」という風に受け止められていた。フランクフルトの人たちに「そんな風に」みられていたというのは、ある意味で自然な事象だと言えた。

 そんな時にできるのは、「そういう風に」見えないためのコミュニケーションや欧米流ボディーランゲージを学ぶのか、あるいは自身のボディーランゲージの正しい解釈を現地の人へ分からせるか、だ。

 無論、コミュニケーションとは伝えたら終わりではない。相手の言わんとすることを理解し、解釈し、それをもとにどうするかを探り合うのが大切になる。そうした点で、自身が納得のいかない事柄に「違う」と口にし、自分がどういう思いでやっているかを説明し、プレーでイメージを明確化したりする日本人選手は間違いなく増えてきている。お互いに何を考えているかわからなければ、ピッチ上でいいプレーをし合うことはやはり難しい。
  昨季にデュッセルドルフのトップチームデビューを飾った内野が、僕に興味深い話をしていた。

「日本で培ったもの、日本人として培ってきたいいものは継続しないと思っています。監督に求められたことは選手としてやらないと。ただ、これはシンキビッツ(※デュッセルドルフのセカンドチームでコーチだった)にも言われてたのですが、『もっと自分で考えてやった方がいい』って。

 ある試合で監督が、『3バックセンターの選手は足が遅いから、簡単に裏へチップキックでパスを送れ』という話をしていたので、それを意識してやっていたら、シンキビッツに個人的に呼ばれて『監督はそういっていたけど、自分で考えてやらないともっといいプレーヤーにはなれないぞ』という話をしてくれた。そういうのを学びつつ、いいバランスでやっていきたいです」

 それぞれに自分の価値観がある。だが、こうしたコミュニケーションを通じ、さらに成長する道を模索し続けるところが肝であり、ドイツだけでなく欧米での日本人の飛躍のカギとなるのではないか。

 ここ最近、多くの日本人選手が見せる「学習能力の高さ」は、ドイツの現場においても間違いなく高く評価されているところであり、他の選手の手本として扱われる。だからこそ、いまブンデスリーガで活躍している選手たちが、ここからどんな成長を見せてくれるのかを楽しみにしたい。

取材・文●中野吉之伴

【関連記事】「昨季よりも進化している!」香川真司の代表復帰にベルギー・メディアと同僚が太鼓判!「間違いなくチャンスはある」

【関連記事】「まさに凄腕!」 三笘薫、移籍後初スタメンのプレーに現地衝撃! 同僚や指揮官からの期待もうなぎのぼり

【関連記事】なんと米メディアが早くもカタールW杯全試合の結果を徹底予想! 日本の結果、そして優勝国は!?