ゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーは、昨季4度目のNBAチャンピオンとなり、初のファイナルMVPを獲得。自身のキャリアに新たな勲章を加えた。

 特にボストン・セルティックスとのNBAファイナルで見せたパフォーマンスは圧巻で、1勝2敗の負け越しで迎えた敵地での第4戦では7本の3ポイントを含む43得点に10リバウンド。優勝がかかった第6戦でも34得点、7リバウンド、7アシスト、2スティールと文句なしの活躍を見せ、満場一致でMVPに輝いた。

 この試合の第3クォーター中盤。ドレイモンド・グリーンからセンターコート付近でボールをもらったカリーは、相手選手たちが「えっ、ここから打つの?」と驚くなかで躊躇なくディープスリーを繰り出し、難なくヒットさせた。

 この一撃で差は22点(72−50)へと広がり、セルティックスはすかさずタイムアウト。カリーは右手の薬指を指さして“4つ目のリングだ”とアピールしていた。
  もっとも、昨プレーオフでカリーが見せた“最も有名なジェスチャー”は別にある。それは、試合の勝敗を決めるビッグショットを沈めたあとにたびたび披露した“Night Night”セレブレーションだ。

 両手を合わせて頬に寄せるこの“おやすみ”ポーズは、男女サッカー界のスター、アレックス・モーガン(サンディエゴ・ウェーブFC)やネイマール(パリ・サンジェルマン)など他競技にも広まり、先日公開されたテレビゲーム「NBA 2K」シリーズの最新作、『NBA 2K23』の予告映像にも入る人気ぶり。

 現地時間8月16日に『Boardroom』へ公開されたニック・デポウラ記者とのインタビューで、カリーは初めてこの“Night Night”セレブレーションをした時のことを振り返っている。

「最初にやったのは、デンバー(ナゲッツ)との(1回戦)第3戦だった。あの時、プレーオフに戻ってきたんだなという状況にいることを実感して起こったんだ。2年間プレーオフを逃していたからね。あの舞台へ戻ることができて、僕はただ興奮していたのさ」
  ウォリアーズの2連勝で迎えたシリーズ第3戦。残り1分を切って3点をリードするなか、カリーはドライブでニコラ・ヨキッチを抜き去りレイアップを決めた直後に“Night Night”ポーズを披露。さらに第5戦でも、試合終盤に値千金のレイアップを決めると同ポーズを繰り出した。

 第3戦では「『眠りにつくように』と、僕は自分自身に話しかけていた。チームメイトたちや相手の誰か、アリーナにいる誰かとは話してない」と明かしたカリー。

「あの時、僕は『Night Night』とは言ってない。『眠りにつくように』と自分に言い聞かせていただけ。だけど、第5戦の残り19秒くらいでレイアップを決めた時、オフィシャルになったんだ。カメラに抜かれてはいなかったけど、そこで僕は初めてそう口にしたんだ」と語った。
  カリーは2019年のファイナルで敗退後、2シーズン連続でプレーオフを逃す苦難を経験。迎えた昨季は3月中旬に左足の靭帯捻挫により、シーズン最後の約1か月間戦線離脱を余儀なくされ、プレーオフ初戦でベンチから復帰した。それら見事な復活劇も重なって、かつてない興奮を味わったのだろう。

 カリーが今季も“Night Night”を披露するかは分からないが、緊迫した展開で勝利を確信させる一撃を沈め、ファンとともに喜びを爆発させるいつもの姿は変わらないだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)