現地時間8月23日、今夏にリーグを賑わせた“ケビン・デュラント狂想曲”が終焉を迎えた。

 ブルックリン・ネッツのショーン・マークスGM(ゼネラルマネージャー)は、チームにトレードを要求していたデュラント、スティーブ・ナッシュHC(ヘッドコーチ)、ジョー・ツァイ(オーナー)、クララ・ウー・ツァイとロサンゼルスで話し合いの場を持ち、「我々は協力して前へ進んでいくことに合意しました」と発表。

 これにより、デュラントのトレード要求は事実上の撤回となり、今季もネッツの一員としてプレーすることとなった。現在チームにはカイリー・アービング、ベン・シモンズ、セス・カリー、ジョー・ハリス、パティ・ミルズといった実力者がおり、戦力が噛み合えばイースタン・カンファレンス上位の戦績を残す可能性を秘めている。

 すると25日になってNBAレジェンドで現在はコメンテーターを務めるチャールズ・バークレーがアリゾナ州のラジオ番組「Bickley & Marotta」へ出演。デュラントについて辛口な言葉を連発していた。
 「俺たちがこう言うと彼は怒る。(だが)最初の2つのチャンピオンシップで、彼は(ゴールデンステイト)ウォリアーズに便乗していたんだ。あの男のキャリアを振り返ってみるといい。ヤツは(所属チームの)ベストプレーヤーで、リーダーになった時には大失敗をやらかしてきた。リーダー、ベストプレーヤーにならなければいけない時、ヤツは毎回成功できずにいる。俺たちのような年を取った連中は皆、そう見ているのさ」

 デュラントは2007年にプロ入りし、1年目から平均20.3点をマークして新人王に輝くと、その後はラッセル・ウエストブルック(現ロサンゼルス・レイカーズ)、ジェームズ・ハーデン(現フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)とともにオクラホマシティ・サンダーを牽引。

 12年にNBAファイナル進出、14年には平均32.0点、7.4リバウンド、5.5アシストを残してMVPを選出されたが、結局サンダーではリーグの頂点に立つことはできなかった。

 するとデュラントはフリーエージェントとなった16年の夏にウォリアーズへ移籍し、17、18年に2連覇を達成。スーパースコアラーと化した男はファイナルMVPを2度も手にした。

 19年にネッツと契約し新たなチャプターに足を踏み入れるも、自身やチームメイトのケガなどもあり、21年のプレーオフではカンファレンス・セミファイナル第7戦でミルウォーキー・バックスに惜敗。今年のプレーオフでは1回戦でボストン・セルティックスに屈辱の4連敗を食らっていた。
  デュラントがこれまでに残してきた実績は超一流で、依然としてリーグトップレベルの選手であることに疑問の余地はないが、バークレーの辛口コメントは止まらない。

「彼は哀れな人間のように思えるね。俺はヤツのことをこれから先もずっとハッピーになれない“Mr. Miserable(惨めな男)”と呼ぶよ。皆は彼に対していつだって最高の環境を用意してきた。オクラホマシティではヒーローとなり、彼らは彼を愛していた。あの州をモノにしていたんだ。
  で、そのあとに(ウォリアーズで)2連覇という称号を手に入れた。でもハッピーじゃないんだ。そこからブルックリンへ行って、あのチームは彼が望むこと全てを与えた。にもかかわらず、ヤツは今でも不十分なのさ」

 このようにアンチも多いデュラントだが、今月上旬には「デュラント・ファミリー財団」の一環として、東京都新宿区の大久保公園へバスケットボールコートを建設するなど、独自のやり方で活動を続けている。

 まだ33歳と、ネッツでチャンピオンシップを獲得するチャンスは残されている。バークレーの批判的な声を燃料にデュラントは、心機一転して今季に臨んでほしいところだ。

文●秋山裕之(フリーライター)