マンチェスター・ユナイテッドが22歳のブラジル代表FWアントニーを獲得することで、所属先のアヤックスと合意したことを8月30日に発表した。
  アヤックスによれば、移籍金は9500万ユーロ(約133億円)で、ボーナスを含めると1億ユーロ(約140億円)という、現時点では今夏の移籍市場で最高額となるビッグディールであり、オランダ・エールディビジ、アヤックスの両方にとっても史上最高額、マンUにとっては2016年のポール・ポグバ獲得時(←ユベントス)の1億500万ユーロ(約147億円)に次ぐ史上2位のものであるという。

 この左利きのウイングは2020年から2シーズン、現マンU監督のエリック・テン・ハフの下でプレーして、アヤックスのエールディビジ連覇に貢献してきた。良さを知る指揮官の強い希望による獲得であり、アヤックスは再三これを拒否してきたものの、赤い悪魔の財政力に根負けする形となった。

 ドイツの移籍専門メディア『transfer.markt』は、このサンパウロ出身の若者に費やされた移籍金が、歴代ブラジル人選手における移籍金額のランキングで3位に入るものであると報道。1位は2017年のネイマール(パリ・サンジェルマン←バルセロナ)で2億2200万ユーロ(約311億円)、2位は同年のフィリッペ・コウチーニョ(バルサ←リバプール)で1億3500万ユーロ(約189億円)となっている。

 なお今夏の移籍市場では、このトップ10にアントニーの他、カゼミーロ(マンU←レアル・マドリー)が7070万ユーロ(約99億円)で6位にランクイン。他には、リシャルリソン(トッテナム←エバートン)とラフィーニャ(バルサ←リーズ)が5800万ユーロ(約81億円)でともに11位、ガブリエウ・ジェズス(アーセナル←マンチェスター・シティ)が5250万ユーロ(約74億円)で14位につけている。

 また、リヨンからウェストハムへの移籍が決定したルーカス・パケタ(ウェストハム←リヨン)の移籍金は4300万ユーロ(約60億円)だが、ボーナスを合わせると6000万ユーロ(約84億円)に達するという。しかしいずれにせよ、これらと比べても、アントニーの移籍金額は図抜けていると言えよう。ちなみに、『transfer.markt』でのアントニーの市場価格は3500万ユーロ(約49億円)である。
 「史上3番目に高価なブラジル人選手」となった彼については現在、果たしてそれほどの価値がある選手なのか、という議論が沸騰しており、アヤックスのレジェンドであり、ミラン時代にはバロンドールを3度受賞し、引退後はアヤックスやオランダ代表を率いた元名ストライカーのマルコ・ファン・バステンは、アントニーの実力に疑問符をつけるとともに、現在の過剰な金額での補強にも苦言を呈している(ブラジルの総合メディア『globo』より)。

「アントニーに1億ユーロ? 彼の価値はその額に遠く及ばない。彼はまだ、多くを見せていない。もちろん、良いプレーも見せており、良い選手だが、アヤックスでは効率の良さは示せていない」
 「彼はボールを失いすぎるし、他にもプレーに問題がある。ウイングでもボールを失うことはあるだろうが、それにも限度がある。ボールを持つたびにドリブルを仕掛けるが、10回のうち7回はボールを失っている。そのことに彼は、もっと注意を払うべきだ」

「アヤックスには素晴らしい育成カテゴリーがあり、非常に良いシステムを築いているにもかかわらず、クラブはすぐに(国内外の他クラブから)若い選手を莫大な金額で買っている。それは何かがおかしい」

 ちなみに、ファン・バステンは2年前にも、アヤックスが育成カテゴリーから選手を昇格させる代わりに、サンパウロからアントニーを1600万ユーロ(約22億円)で獲得したことに対して、ネガティブなコメントを発していた。

 アヤックスのレジェンド以外にも、現監督のアルフレド・スフリューデルはメディアを通して移籍希望の意思を示していたアントニー自身に対しても不快感を表わし、また現在の度を越した移籍金に対しても「クレイジーな額が支払われている」と批判。一方、マンUのファンにもこのビッグディールを受け入れない者が少なくなく、クラブに対して不満の声を寄せているようだ。

 先日はFWアレクサンデル・イサクがレアル・ソシエダから電撃的にニューカッスルに移籍したが、そこで動いた金額は7000万ユーロ(約98億円)という記録的なものだったことで(それゆえにソシエダも受け入れざるを得なかったようだ)、物議を醸したものだが、これらが今後の移籍市場にいかなる影響を与えるのか、気になるところである。

構成●THE DIGEST編集部
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