NBAキャリア8シーズン目となった昨季、ボストン・セルティックスのマーカス・スマートは平均12.1点、3.8リバウンド、5.9アシスト、1.7スティールをマークし、ハッスルアウォードに選ばれた。

 2018−19シーズンに次いで、2度目の戴冠は同賞の歴史において初。また、昨季のスマートは1995−96シーズンのゲイリー・ペイトン(元シアトル・スーパーソニックスほか)以来、ポイントガードとして史上2人目の最優秀守備選手賞にも選出された。

 さらに、自身8度目となったプレーオフではイースタン・カンファレンスを制し、初めてNBAファイナルにも進出。ゴールデンステイト・ウォリアーズの前に2勝4敗で敗れたものの、スマートはシリーズ平均15.2点、4.5リバウンド、5.0アシスト、1.5スティールに3ポイント成功率41.2%と、上々の成績を残した。

 ただ、これまでのキャリアすべてでプレーオフへ進出し、自慢の屈強な肉体を犠牲にしながら攻守両面でプレーしてきたスマートは、ケガにも悩まされてきた。
  シーズン全休という大ケガにこそ見舞われていないものの、昨季はヒザや足首を痛めるなど計11試合を欠場。プレーオフでも足首の痛みと付き合いながらプレーを続けており、ファイナル終了から約2か月半が経過した現在も完治していないという。

 現地時間9月3日(日本時間4日、日付は以下同)に『CLNS』へ公開されたインタビュー記事で「俺の足首は良くなってきている。(けど)まだ回復している最中だから、まだその痛みと向き合っているんだ」と明かしたスマートは、こうも話した。

「できるだけ、休息を与えているところなんだ。でも間違いなくコートには戻れる。昨日、俺たちはプレーを始めていて、動揺することもなかったから、次のシーズンにはすべてのことがこなせるし、より高いところへ行けるさ。今は(100%に)限りなく近いところにいる。それに今は9月だからね。(プレーオフ期間の)6月や5月にこうなってはいたくない。9年目のシーズンに向けてしっかり治していくよ」
  12年ぶりに臨んだ頂上決戦に敗れ、惜しくも球団史上18度目の優勝を逃した昨季のセルティックス。ただ、チーム最古参かつハート&ソウルとして知られる熱血漢は「俺としては、何が必要なのか、次のシーズンに向けてどんなことを準備していくか把握しているから問題ないさ」と頼もしい言葉も発していた。

 もし彼が開幕に出遅れることがあっても、今季は控えのガード陣にデリック・ホワイト、ペイトン・プリチャード、さらにはマルコム・ブログドンも加入したため、スマート不在の穴を最小限に抑えられるだろう。加えて層が厚くなったことで、復帰直後から酷使されることもないはずだ。

 チームは今夏、ブルックリン・ネッツのケビン・デュラントがトレード要求をした際に移籍先候補として挙がっており、『ESPN』や『The Athletic』がその交換要員としてジェイレン・ブラウンやスマート、ホワイトの名を挙げていた。だが結局デュラントは残留となり、セルティックスは昨季ファイナルのローテーションメンバーに、ブログドンとダニーロ・ガリナーリ(左ヒザ前十字靭帯断裂のためシーズン終盤に復帰の見込み)を加えて王座獲得を目指す。
  トレードの噂が拡散された際、ブラウンのメンタル面が心配されたが、特に問題なく今季へ向けて取り組んでいるようだ。

「(ブラウンは)上手くやっていたよ。笑みを見せて歩いている。一緒にいる時しか話していないけどね。俺たちは次のシーズンに向けて準備していこうと話し合っているんだけど、彼は凄いよ。自身にできるだけ、プロフェッショナルとして対応している」(スマート)

 トレードの噂と言えば、スマートも毎年と言っていいほどトレードトークに名前が挙がってきた選手。結局、移籍することはなく、名門チームでリーダー格を務めているのだが、スマートはこのことについてポジティブに捉えていた。

「俺からの助言としては『誰だってビジネスが優先されるのを忘れるな』ってことかな。ビジネスであれば、個人的なことは関係なくなるんだ。ただ、俺からするとトレードトークで名前が挙がれば、それは誉め言葉だと受け取っている。だって自分のことを欲しがっているということだからね。いいことじゃないか。
  問題なのは、自分の名前がなくて、どのチームからも必要とされていないってこと。もちろん(トレード要員と報じられるのは)タフだし、理解はしている。だけどそういった話はずっと続いていくし、自分にはどうなるかなんてわからないのさ。(NBAでは)なんだって起こり得るんだからね」
  スマート自身も、これまでトレードトークについて悩んだことがあったのだろう。だからこそ、こうして対処することの難しさを語りつつ、ポジティブに捉えていると言っていい。

 セルティックスにはジェイソン・テイタム、ブラウンというリーグ最高級のウイングプレーヤーたちがいる。だが、彼らを支えるスマートという屋台骨がいることも、決して見逃してはならない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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