F1第15戦のオランダ・グランプリは9月4日に決勝が行なわれ、アルファタウリの角田裕毅はマシントラブルによってリタイアを喫した。

 予選のQ1で全体3番手に入り、本人も驚きのQ3進出を果たして9番グリッドを手に入れた角田。ラストアタック中のセルジオ・ペレス(レッドブル)のスピンがなければ、8番手のミック・シューマッハー(ハース)を上回った可能性もあるほど良いペースを見せて、決勝に向けての希望を大きく膨らませていた。

【動画】オランダGP、角田が予選Q1でスーパーラップを叩き出す! レースではスタート直後にポジションを2つ落としたものの、ポイント獲得に向けての戦略に従って堅実なドライビングを続けていたが、タイヤをハードに変えた43周目、リアタイヤに違和感を覚えてコースの脇に車を停め、そのままリタイアかと思われたが、間もなく走行を再開してピットイン。ソフトタイヤへの交換、停車時に緩めてしまったシートベルトの締め直しに30秒以上を要してからコースに復帰したものの、チームがディファレンシャルギアの問題を確認したことで、レース続行を断念することとなった。

 連続ノーポイントが9戦に伸びてしまった失意のレースの後、角田はチームの公式サイトを通して「今日はとてもガッカリしています。レースに向けてペースはとても良さそうであり、ポイント圏内でのフィニッシュに期待していました。スタートで少し後ろに下がったものの、徐々に前向きな姿勢に戻りました」と失望を露にした後、以下のようにも振り返っている。

「残念ながら、ハードタイヤに替えた後、車に問題を感じ、そこで何も見つけられなかったチームは再度、タイヤ交換のためにピットインを命じました。それでも、コースに戻るとまだ違和感が拭えず、チームもそれを確認し、リタイアしなければなりませんでした」

「タイヤがしっかりはまってない」との無線交信での連呼によって明らかになったこのマシントラブルについて、角田は「ストレートでドリフトしているような感じで、ストレートでカウンターを当てていました」とコメント。無線で「何かがおかしく、デフか何かが壊れたと思いました」とチームに報告した彼は、「最初はグリップの低いハードタイヤを履いたことでホイールスピンを起こしたのかと思いましたが、すぐに明らかな問題だと感じました」と語った(英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』より)。

 この件について、アルファタウリの車両パフォーマンスのチーフ・エンジニアであるクラウディオ・バレストリは「第2スティントでのミディアムタイヤがうまくいったことで長く走行させた後、(ハードへの交換のために)ピットインさせたが、彼は車のリアに違和感があると知らせてきたため、彼を呼び戻して再度タイヤを換え、直後に車の問題を確認した。問題の詳細については現在、調査中だ」との声明を発している。
  チームはSNSで「我々にとって良い日ではなかった。モンツァに気持ちを切り替えよう」と投稿したが、角田はシートベルトを緩めたままで走行したことが規定違反に該当するということで、戒告処分を受けるとともに、これが5回目に達したことで、次戦のイタリアGPでは10グリッド降格という厳しいペナルティーを受けることとなってしまった。
  また、角田のリタイアがバーチャルセーフティーカー(VSC)を発動させたことが、結果的に姉妹チームであるレッドブルのマックス・フェルスタッペンに有利に働いたことで、いわゆる「陰謀論」が囁かれることとなってしまった。前述の『THE RACE』などは、アルファタウリが再ピットインの際、角田の訴えにもかかわらず、タイヤ交換だけでコースに送り出し、その直後に問題を見つけ出してコース脇に停車させたという行動は明らかに奇妙だったと指摘。ただ、“陰謀”の存在には懐疑的だ。

 米国の大手誌『Forbes』もこれに注目し、「(同メディアが)安易に陰謀論に傾倒することはないが、アルファタウリ(角田)のリタイアのタイミングは、レッドブルにとって理想的だった」と記述。対して、放送局『FOX SPORTS』豪州版は「陰謀を信じるのは便利かもしれないが、フェルスタッペンは表彰台のどこでフィニッシュしようが、もはやタイトル連覇は確実であるため、レッドブル陣営にとってこのような巨大なリスクは全く不必要だ」と指摘しており、これが最も納得のいく理屈だろう。

 痛くもない腹を探られることとなっている角田やアルファタウリにとっては、何重もの苦痛を味わうことになったオランダGPだが、ホームレースとなる次のモンツァでのハイスピードレースで好パフォーマンスを発揮し、シーズン再開後のトリプルヘッダーを良い形で締めることはできるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部
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