先日、かつてワシントン・ウィザーズなどでプレーしたギルバート・アリナスが、米メディア『Fubo Sports』の番組「No Chill」で、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)に関する持論を展開した。

「彼はバスケットボールをプレーし、チャンピオンシップを勝ち獲った。クールだ! だが、どうすれば偉大な存在になれるのか、どうすればもっと良くなれるのか、自分の身体の鍛え方を本当の意味では理解していない」

 この主張には首を傾げる者も多く、批判も寄せられた。そうした事情もあって、アリナスは自身のインスタグラムでこう補足した。

「ヤニスは自分のゲームに新たなスキルを追加したかい? 3ポイント成功率は向上したかい? いや。ミドルレンジの精度が上がったかい? いや。フリースローの確率が良くなったかい? いや。

 確かに、フィジカル面で強さを増し、フィニッシュ能力も向上して、フィールドゴール成功率はアップしている。ただ今もかつての課題が残っている。プレーをブラッシュアップする方法を理解するために、もっとバスケットボールを学ぶ必要があると言ったんだ」

 アリナスは現役時代、あらゆる形で高得点を稼ぎ出したスコアラーで、2005−06シーズンには平均29.3点、翌06−07シーズンも同28.4点をマークしている。
  ただ、今回は持論を展開した相手がさすがに悪すぎた。ギリシャ出身のアデトクンボは、NBA入り後に身体を鍛えあげて強靭な肉体を手に入れただけでなく、ユーロステップやフェイダウェイジャンパー、3ポイントも着実に伸ばしているからだ。

 このアリナスの発言について、ダーク・ノビツキー(元ダラス・マーベリックス)は「彼は世界でもベストプレーヤーの1人。チャンピオン、MVPであることを証明してきた。それに彼は常に向上してきた選手として挙がる男でもある。彼が若いながらもすでにこれだけやってきたことを見てみるといい。彼はベストの1人なんだ」と『Eurohoops』へ語った。

 ローテーションプレーヤーからスターターとなり、オールスターの常連となってリーグのベストプレーヤーの仲間入りを果たしたアデトクンボは、これまでMVP2回のほか、MIP(最優秀躍進選手賞)、優勝とファイナルMVPに加えて最優秀守備選手賞にも選ばれてきた。 また、現地時間9月1日に公開されたポッドキャスト番組『Road Trippin’』では、リチャード・ジェファーソン(元ニュージャージー・ネッツほか)がこう話していた。

「ギルバートは(アデトクンボを)ちょっとカモにして、自身の3ポイントの凄さで圧倒しようとしていたのかもね。オーケー。じゃあ勝利の話をしよう。試合に与えるインパクトやインテンシティ、ディフェンス、オフェンスについても話してみようじゃないか。彼は地球上でベストな2WAYプレーヤーなんだ。つまり、君の意見は全然ダメってこと。近づいてすらいない」

 アデトクンボはここ4シーズンで平均32分前後の出場にとどまっているが、それでも4シーズン連続でオールNBA&オールディフェンシブ1stチーム入りと攻守両面でフル稼働していることが分かる。
  さらに、プレーオフではプレータイムが増加しており、昨季のカンファレンス・セミファイナル(対ボストン・セルティックス)では平均40分の出場で33.9点、14.7リバウンド、7.1アシストを奪取。プレーオフの1シリーズで、200得点、100リバウンド、50アシストをクリアした史上初の選手にもなった。

 アデトクンボがその気になれば、アウトサイドからショットを乱発することも可能だろう。だがそれは効率性の悪さからチーム側から注意されるだろうし、何より本人がそのようなプレーを望んでいるとは思えない。

 アリナスの歯に衣着せぬ発言はたびたび注目を集めているが、このアデトクンボ評について同意する声は少ないだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)