チェコ・ジョージア・イタリア・ドイツの4か国で9月1日から開催中のユーロバスケット2022は、前半戦のグループリーグが終了。10日から行なわれる決勝トーナメントに出場する16チームが出揃った。

 グループA では、 予選最終戦で3勝1敗の同士のスペインとトルコが対決。最大点差が6点という超接近戦を3点差でスペインが制し、グループ首位を確定させた。

 しかし、彼らが決勝トーナメントで対戦するのは、グループBを4位で通過した難敵リトアニアだ。リトアニアは負ければ敗退決定の最終戦でボスニア・ヘルツェゴビナを圧倒。開幕3連敗後に2連勝と調子を上げてきているだけに、予選順位が物語るほど簡単な相手ではないだろう。

 グループA2位のトルコは、最終戦でスロベニアに敗れたB組3位のフランスと対戦する。この試合は現地時間10日の12時ティップオフと、決勝トーナメント の先陣を切るが、トルコ代表のエルギン・アタマンHCは、「こんな時間じゃ、ドイツにいるトルコ人のサポーターが観に来られない」と苦言。ドイツはトルコ国外でもっとも多くトルコ人が居住している国であり、指揮官は先日、「在住トルコ人のみなさんはこぞってアリーナに足を運び、ホームの雰囲気を作り出してほしい」と呼びかけていた。

 よって、それが実現しては困ると焦ったFIBA が、あえて昼間にトルコ戦をブッキングした、という嫌味を込めてのアタマンHCの発言だったが、普段から挑発的な物言いがトレードマークの彼だけに、得意の舌戦でジャブを入れた、といったところだ。
  グループAの3位はモンテネグロ、4番手でベルギーが勝ち抜け。ジョージアはホスト国の4チーム中唯一、予選敗退となった。

 ちなみにブルガリアは1勝4敗のA組5位で敗退したが、フォワードのアレクサンダー・べゼンコフが、グループリーグの5試合を終えてヤニス・アデトクンボに次ぐ平均26.8点と、フランス戦で47得点をマークしたルカ・ドンチッチをも上回るハイアベレージ。加えてリバウンドは平均12.2 本で首位、活躍度を数字にした評価指数でもアデトクンボに次ぐ2位と、なんと3カテゴリーでトップ3 入り。さらにアシストではチームメイトのポイントガード、ディー・ボストが平均8.4本で2位と、意外にも出場チームで唯一、ブルガリアの選手が4カテゴリーすべてにランクインしている。

 グループBは、ドンチッチの大会歴代2位となる47得点でフランスを破ったスロベニアが首位で決勝トーナメントに進出。勝ち抜けが決定したあとの試合でのドンチッチのこの奮闘ぶりからは、なんとしてでも首位通過を果たしたかったスロベニアの思いが見てとれる。

 2位での通過となると、準々決勝でC組首位のギリシャとあたる可能性が大。また3位になると、準々決勝でD組首位のセルビアが立ちはだかる。優勝候補の筆頭である両国との対戦をできる限り遅らせるには、グループB を首位で勝ち抜ける必要があったのだ。

 しかしてB組2位は地元ドイツ、3位はフランスとなったわけだが、これまで1敗のみと好調なドイツが、ノックアウトステージでどこまで勝ち進めるか見ものだ。
  グループC では、ギリシャが最終戦でエストニアを90−69で下して無傷の5連勝。この試合では、ヒザを痛めて欠場していたアデトクンボ兄弟の四男、コスタスが今大会初出場。約12分の出場で無得点に終わったが、第1クォーターにはコスタスのブロックからヤニスが速攻でダンクという迫力満点の兄弟プレーも披露した。

 敗れたエストニアは1勝4敗で敗退となったが、5試合の得失点差−14が示すように、どの試合も相手を苦しめる熱の入ったプレーが印象的な好チームだった。敵地に駆けつけた2000〜3000人ものファンが選手の一挙手一投足に声援を送り、ミラノ会場にホームアリーナのような雰囲気を作り上げた様子は、この国のバスケットボールの明るい未来を予感させた。

 そしてグループCの最終戦、ホスト国イタリア対イギリス戦では、直前にエリザベス女王逝去の悲報が舞い込み、ティップオフ前に黙祷が捧げられた。選手たちは少なからずこの悲報に動揺したとのことだが、国のために勝利を、との想いは結果につながらず、56−90と過去出場したユーロバスケット史上最大の点差で大敗した。勝利したイタリアを次ラウンドで待ち受けるのは、グループDを全勝で突破したセルビアだ。
  グループDの最後の1席は、勝った方が予選通過というチェコ対イスラエルの一騎討ちをホスト国のチェコが掴み取った。元NBAで今季からバルセロナでプレーするトーマス・サトランスキーが14得点、8リバウンド、11アシストとエースにふさわしい働きで、母国を敗退の危機から救った。

 決勝トーナメントではさっそくギリシャとの対戦が待っているが、チェコは2019年のワールドカップでは、最終的には敗れたもののギリシャを大いに苦しめた実績を持つ。ギリシャのディミトリス・イトゥディスHCも「彼らは同じ体制を継続している手強い相手」と警戒する。

 主砲アデトクンボも「2014年のワールドカップでも5戦全勝でグループを勝ち抜けたけれど、最初のノックアウトステージで25点差(正確にはセルビアに18点差)で敗れた」と19歳当時の苦い経験を振り返り、気を引き締めて臨むことを誓っている。

 ドイツのベルリンに場所を移してのノックアウトステージは、10日の12時、トルコ対フランス戦で幕を開ける。

■決勝トーナメント対戦カード
ドイツ(B組2位)−モンテネグロ(A組3位)
ギリシャ(C組1位)−チェコ(D組4位)

スペイン(A組1位)−リトアニア(B組4位)
フィンランド(D組2位)−クロアチア(C組3位)

スロベニア(B組1位)−ベルギー(A組4位)
ウクライナ(C組2位)−ポーランド(D組3位)

トルコ(A組2位)−フランス(B組3位)
セルビア(D組1位)−イタリア(C組4位)

文●小川由紀子