二刀流戦士と怪物――。球界を代表する傑物同士が日々見せるパフォーマンスに球界は沸いている。

 話題の中心にいるのは、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)とアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)だ。今季は互いにキャリアハイレベルのパフォーマンスを披露し、ア・リーグのMVPレースを一騎打ちの展開へと持ち込んでいる。

 ともに活躍ぶりは歴史的だ。昨シーズンの“覇者”である大谷は投手としてキャリアハイの12勝をマーク。打っても33本塁打を放ち、史上初となる「シーズン30本塁打+2桁勝利」の金字塔も打ち立てた。一方のジャッジはロジャー・マリスが1961年に樹立したア・リーグ年間本塁打記録(61本)超えを射程圏に捉える55本塁打を記録。右打者での55本はヤンキース史上最多の本数である。

 甲乙つけがたいパフォーマンスに人々は熱狂する。“野球の本場”アメリカでも「どちらがMVPにふさわしいのか」を巡っては、連日のように熱い議論がSNSやスポーツ番組内で交わされている。

 そうしたなかで、小さくない波紋を広げているのは、米放送局『FOX Sports』でアナリストを務めるベン・バーランダー氏のツイートだ。自らのポッドキャスト番組内で企画を立てるほど、稀代の「大谷マニア」として知られる彼は、現地時間9月10日に、MVP論争に一石を投じたのである。

「たしかにジャッジはMVPを象徴するようなシーズンを送っている。まったく信じられないことだ。だけど、ショウヘイ・オオタニのやっていることは、もはや“奇跡”なんだ」
  もっとも、このツイートのキッカケは、同日に『FOX Sports』での野球中継内で、ケン・ローゼンタール記者が発した言葉にあった。MLBの事情通である同氏は巷を賑わせる比較論について「ジャッジがMVPに値するのは分かる。だが、私が心配なのは、誰もが二刀流慣れをしているのではないかということ。オオタニが2年連続で二刀流としてMLB史上で最も素晴らしい成績を収めているのを人々が見過ごさないことを願っている」と見解を示したのである。

 これを「ケンはよくわかっている」と拡散したバーランダー氏。日頃から大谷のあらゆる情報を発信し、今夏には来日も果たした彼らしい意見ではあった。だが、一連の投稿は一部のヤンキース・ファンの反感を買った。「これはバイアスをかけている」「あらゆるスタッツを見てみろ」といった意見が相次いだ。

 ヤンキース・ファンならびにジャッジを推挙するファンからの反論は、手厳しいものばかり。その一部にはアナリストとしての在り方を問うものもあった。一方でバーランダー氏を擁護する声もある。米メディア『LWOS』に寄稿するネイサン氏は、次のように訴えた。

「彼はオオタニのやっていることを楽しもうとしているだけだ。それなのにコメント欄には、1000人以上もヤンキース・ファンが押し寄せてくる。アーロン・ジャッジがMVPになると確信しているなら、どうしてそんなに焦るんだ?」

 バーランダー氏の投稿を巡る争いを見ても世論は割れている。そんな例年以上に投票者の野球観に委ねられている感が否めない今季のMVPレースを最後に制するのは、どちらなのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

【関連記事】MVP男・アルトゥーベを笑わせた99マイルの魔球。“規格外”な大谷翔平に元捕手の米解説者も困惑「たまったもんじゃない」

【関連記事】大谷翔平が投じた163キロに米メディアも驚愕! エンジェルス史に残る“最速球”に反響止まず「熱がこもっている」

【関連記事】「作り上げられた成績だ」大谷翔平の“史上初の快挙”にケチ! 米ラジオ解説者がMVP議論で異論「意味のある試合を戦ってない」