現地時間10月27日にバークレイズ・センターで行なわれたダラス・マーベリックスとブルックリン・ネッツによる一戦は、オーバータイムへもつれる激戦の末にマブズが129−125でネッツを下した。

 同点13回、リードチェンジ13回を記録したこの試合、ホームのネッツはセス・カリー(足首)、ジョー・ハリス(休養)、マーキーフ・モリス(個人的事情)、TJ・ウォーレン(足)の主力4選手が欠場。

 それでもカイリー・アービングが39得点、7リバウンド、4アシスト、3スティール、4ブロック、ケビン・デュラントが37得点、5アシスト、2スティール、ロイス・オニールが10得点、7リバウンド、ベン・シモンズが8リバウンド、4アシスト、3スティール、さらに渡邊雄太が22分28秒プレーして6得点、4リバウンド、2アシスト、1ブロックと奮戦した。

 だがマブズは開幕から3戦連続で32得点以上を記録するルカ・ドンチッチがいずれもゲームハイとなる41得点、11リバウンド、14アシストのトリプルダブルと大暴れ。ほかにスターターで2桁得点を残したのはスペンサー・ディンウィディー(11得点、5アシスト)のみながら、ベンチポイントで54−25とネッツを圧倒した。
 「俺たちがフロアにいる時は、彼(ドンチッチ)の負担を軽減できるようベストを尽くすようにしている。彼からボールがきたらやることはひとつ。ショットを決め切ること。自信をもってプレーを遂行することなのさ」

 4本の3ポイント成功を含む18得点をあげたティム・ハーダウェイJr.が試合後に語ったように、マブズのベンチ陣はマキシ・クリバーが15得点、クリスチャン・ウッドが11得点、6リバウンド、ジョシュ・グリーンが10得点と各自が役割を全うした。

 マブズとネッツはいずれも昨季プレーオフへ駒を進めたチームであり、前者はジェイソン・キッド、後者はスティーブ・ナッシュという殿堂入りポイントガードが指揮官を務めている。

 キッドは通算トリプルダブル数で歴代4位の107回を誇る万能PGで、通算1万2091アシスト、2684スティールはいずれもNBA歴代2位、2011年にはマブズの球団初優勝に貢献した。

 引退後はネッツとミルウォーキー・バックスでヘッドコーチ(HC)、ロサンゼルス・レイカーズでアシスタントコーチ(AC)を務め、20年にはレイカーズの優勝に尽力。昨季から古巣マブズの指揮官に就任し、1年目でチームをカンファレンス・ファイナルまで導いた。 一方のナッシュも2度のシーズンMVPを獲得した名司令塔。抜群の視野とパスセンスを武器に歴代4位の1万335アシストを残す傍ら、エリートシューターの証でもある「50−40−90」(フィールドゴール成功率50%、3ポイント成功率40%、フリースロー成功率90%以上)を歴代最多の4シーズンで記録した正確無比なシュート力にも定評があった。

 ネッツの指揮官として3年目を迎えたナッシュについて、キッドは“先輩”として試合前にこう語っていた。

「彼はリーグでも有能なコーチの1人。彼のバスケットボールIQはとてつもないんだ。だから彼は数多くの責任をなすりつけられることもある。だが彼は若いコーチで、時間が必要なんだ」

 今夏にデュラントがトレード要求をした際、ナッシュHCとショーン・マークスGM(ゼネラルマネージャー)の解任を求めたと報じられたが、キッドはこれまでの経験を踏まえて助言を送った。
 「もちろん、誰だってそうなったら楽しくはない。彼らも人間であり、不運なこともある。だがそれを乗り越えなければいけない。そこから学んでいくんだ。これはビジネスであって、(NBAでは)起こりうること。彼らはまだ若いし、乗り越えなきゃいけない。これは皆が通る道だからね」

 ナッシュにとって、キッドはカレッジ時代に対戦し、キャリア初期には同じチーム(フェニックス・サンズ)で共闘した仲でもある。選手・指揮官として先輩にあたるキッドについて、ナッシュはこう話していた。

「フェニックスではチームメイトで、キャリアの大部分では対戦相手としてマッチアップしてきた。私たちにはたくさんの歴史があり、最高の関係を築いてきた。彼の成功は私にとって嬉しいこと。それに今でも彼とこうして競い合うことができて最高さ」

 マブズとネッツが次回対戦するのは11月7日。キッドにとってはホームで、ナッシュにとってもマブズはダーク・ノビツキーとのデュオでオールスターへ成長した古巣だけに、次戦も感慨深い試合となりそうだ。

文●秋山裕之(フリーライター)