NBAの2022−23シーズンは開幕から約2週間が経過。現地時間11月1日時点でイースタン・カンファレンスはミルウォーキー・バックスがリーグ唯一の無敗(6勝0敗)、ウエスタン・カンファレンスではフェニックス・サンズが6勝1敗(勝率85.7%)でそれぞれトップに立っている。

 そしてイースト2位という好位置にいるのがクリーブランド・キャバリアーズだ。昨季あと一歩のところでプレーオフ進出を逃したチームは、開幕戦こそトロント・ラプターズに惜敗も、翌戦から負けなしの5連勝を飾り、ここまで5勝1敗(勝率83.3%)の好成績を残している。

 その最大の立役者は、ユタ・ジャズからトレードで加入したドノバン・ミッチェルだろう。26歳のオールスターガードは、ここまで平均39.0分、32.2点、4.5リバウンド、7.3アシスト、1.7スティールと絶好調。

 1日には開幕戦で左眼を裂傷し離脱していたダリアス・ガーランドが、フルコンタクトの練習へ参加。昨季オールスターに出場した司令塔の復帰で、ここからさらに調子を上げていくかもしれない。
  といっても、キャブズにはミッチェルとガーランドの他にもオールスターセンターのジャレット・アレン、昨季新人王で2位の得票数を集めたエバン・モーブリー、キャリス・ルバートにケビン・ラブといった実力者がおり、昨季ほどの驚きはない。

 その一方で、ミッチェルの古巣ジャズもここまでウエスト3位の6勝2敗(勝率75.0%)と好調。

 オフにミッチェルに加え、ロイス・オニール(ブルックリン・ネッツ)、ルディ・ゴベア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)、ボーヤン・ボグダノビッチ(デトロイト・ピストンズ)と、昨季の先発4人を放出し、ウィル・ハーディ新HC(ヘッドコーチ)の下で再建モードと評されていたチームが予想外の好発進を見せていることの方がサプライズと言っていい。

 ここまでラウリー・マルッカネンが平均22.6点、9.3リバウンド、2.9アシスト、ケリー・オリニクが12.9点、4.0リバウンド、3.4アシスト、1.6スティール、コリン・セクストンが12.5点、マリーク・ビーズリーが同11.9点、1.1スティールなど新加入選手が見事な働きを見せている。

 もっとも、ミッチェルにとって古巣の奮闘は“予想外”ではなく“想定内”だったようだ。1日に『Heavy Sports』へ公開されたインタビューのなかで彼はこう話していた。

「あのチームは多くの選手たちを獲得した。周囲がなぜ彼らのことを(上位候補から)除外したのか僕には理解できないよ」
  そして昨季から在籍するコアメンバーの2選手についても評していた。

「彼らにはロッカールームにおける優秀なリーダーがいるんだと思う。マイク・コンリー、ジョーダン・クラークソンはいずれも素晴らしいリーダーだ。そこにセクストン、マルッカネン、ビーズリーも手に入れた。彼らは今すぐにでも勝ちにいける選手たちを揃えているのさ」

 今季クラークソンは平均16.5点、4.5リバウンド、5.3アシスト、コンリーは11.6点、7.0アシスト、1.3スティールと堅実な働きを見せ、チームを支えている。
 「僕はあそこで彼らからリスペクトされてきた。マイクとJC(クラークソン)とはいつも話している。彼らは今でも友人なんだ。それに彼らは決してダメな選手なんかじゃない」と、ミッチェルは両選手について語っていた。

 35歳のコンリーと30歳のクラークソンは、今オフにトレードの噂が絶えなかったが、最終的にチームにとどまり、今季も主力を務めている。

 主力を放出し新たなスタートを切ったジャズが2人のベテランをロスターに残したのは、彼らのリーダーシップを高く評価しているからだろう。

 なお、元キャブズのマルッカネンとセクストンがクリーブランドへ凱旋するのは12月19日。ミッチェルが対戦相手としてユタへ凱旋するのは来年1月10日となる。

 成立当初はキャブズの圧勝と見られていたミッチェルのトレードだったが、現時点では“ウィン・ウィン”と言っていいだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)