現地時間11月4日を終えた時点で、シカゴ・ブルズはイースタン・カンファレンス6位の5勝5敗(勝率50%)。2年連続のプレーオフ進出へ向け、まずまずのスタートを切っている。

 先発ポイントガードのロンゾ・ボールがケガで出遅れるなか、デマー・デローザンが平均25.6点、4.3アシスト、ザック・ラビーンが20.7点、4.0アシスト、ニコラ・ヴュチェビッチが16.4点、12.3リバウンドと主軸は健在。2年目のアヨ・ドスンムがスターターに入り、アレックス・カルーソやパトリック・ウィリアムズ、コビー・ホワイト、ジャボンテ・グリーン、アンドレ・ドラモンドらがチームを支えている。

 さらにベンチにはベテランのゴラン・ドラギッチが控える層の厚さも、今季のチームの強みのひとつと言えるだろう。今夏にスロベニア代表としてユーロバスケット(欧州選手権)に出場し、平均14.9点、3.6リバウンド、3.7アシストをマークしたコンボガードにとって、ブルズはNBA通算6球団目。ここまで全10試合に出場して平均17.6分、9.0点、3.4アシストに3ポイント成功率50.0%(平均1.6本成功)と、ローテーションの一角として貴重な働きを見せている。
  3日に地元メディア『NBC Sports Chicago』に公開された記事のなかで、ドラギッチは新天地で充実の序盤戦を過ごしていることを明かした。

「ここですごく楽しんでいる。新しいチームに新たな街と人々、僕にとってはいい気分転換なんだ。ビリー(ドノバンHC)ともコミュニケーションがよく取れているし、彼は最高のコーチだね。今の僕はハッピーだよ。それが最も重要なことだと思っている。特にキャリアの終盤ではね」

 今季のプレータイムはフェニックス・サンズでNBAデビューした2008−09シーズンの平均13.2分に次いで短く、得点源を務めてきたサンズやマイアミ・ヒート時代とはチーム内における役割も異なるものの、36歳のベテランは「いい感じさ」と満足感を滲ませる。

「僕とビリーは15〜20分という完璧なバランスを見つけているからね。もちろん、誰だってもっとプレーしたいと思うもの。それは別に悪いことじゃない。けれど僕としてはこのチームのためにいるわけで、彼らが求めることをやるだけさ。もしビリーから30分プレーすることを求められたら、そうできるように備えていく。15分なら、僕もそれに応じていくよ」 ドラギッチは2008年のドラフト2巡目45位でサンアントニオ・スパーズから指名され、サンズでキャリアをスタートさせてから今季で15年目。当初は控えに過ぎなかったが、2013−14シーズンにはサンズで平均20.3点、5.9アシストをあげてMIP(最優秀躍進選手賞)とオールNBA3rdチーム入り、ヒート時代の17−18シーズンにはオールスターにも選ばれた。

 世界最高峰のプロバスケットボールリーグにおけるこれまでのキャリアについて、ドラギッチは若手時代の苦労を振り返る。

「1年目は、あと少しでヨーロッパへ戻るところだった。新しい国に来て、これまでとは違う食べ物やカルチャー、よりフィジカルかつ速いバスケットボールだったから、アジャストする時間が必要だったんだ。だけど諦めずに頑張ってきて良かったよ。ダメだと感じた日々もあったけど、今思えばそういったことが僕を高めて、より強くしてくれた」
  現在のNBAでは外国籍選手が100人以上を占めている。だがドラギッチが入った当時は今ほど多くはなく、ドラフト2巡目指名だったことも考慮すると、15年間生き抜いていることは快挙と言っていい。

「簡単ではなかったよ。けど同時に、NBAでプレーすることは僕の夢だったんだ。僕が今もここでプレーしているなんて、いったい誰が予想していたと思う? 僕はいつだってベストなリーグでベストな選手たちと対戦したかった。僕は負けず嫌いでね。だからこそ、できるだけ長くこの国に残ってやろうと努力してきたのさ」

 ケガからのカムバックやプレーオフ通算60試合をプレーしてきた実績、さらに国際舞台の豊富な経験も備えるドラギッチ。ブルズのバックコート陣には若手が多いだけに、時にメンターとなり、コート上でも勝利に貢献できるベテランの存在は、シーズンが進むごとに価値を増していくだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)