現地時間11月4日にワシントンDCのキャピタル・ワン・アリーナで行なわれたブルックリン・ネッツ対ワシントン・ウィザーズの一戦は、128−86でネッツの大勝に終わった。

 ネッツの渡邊雄太、ウィザーズの八村塁による今季初の日本人対決で注目を集めたこの試合、ネッツは連日のように揺れ動くチーム事情のなかでティップオフを迎えた。

 開幕から2勝5敗と大きく負け越したチームは、1日にスティーブ・ナッシュHC(ヘッドコーチ)を解任。さらに4日には第2の得点源でプレーメーカーのカイリー・アービングに最低5試合の出場停止処分を科した。これは先日、アービングが反ユダヤ主義の映像作品のリンクを自身のSNSへ投稿し、(支持する意思こそ示さなかったものの)明確に否認しなかったことで問題へ発展したためである。期間中は無報酬という処分が下された。

 ネッツは今季平均26.9点、5.1アシストを記録するアービングに加え、ベン・シモンズ(左ヒザの痛み)、セス・カリー(左足首)ら主軸を欠く苦しい台所事情。しかしいざ試合が始まると第1クォーターだけで38得点を奪うなど、終わってみれば42点差をつける圧勝劇で今季3勝目を手にした。
 「ケビンが今夜、我々の中枢となってくれた。チームメイトを見事に束ねてくれた。彼は喜んでパサーになっていたし、機会があれば彼らを生かしていたね」

 代理で指揮を執るジャック・ヴォーン暫定HCが試合後に語ったように、チームを引っ張ったケビン・デュラントはゲームハイの28得点、9リバウンドに加え、今季自己最多となる11アシストの活躍で勝利の立役者となった。

 そのほか、ニック・クラクストンが18得点、9リバウンド、3ブロック、キャム・トーマスが17得点、6アシスト、渡邊がシーズンハイの14得点、8リバウンドに2ブロック、ロイス・オニールが13得点、8アシストをあげるなど、計7選手が2桁得点を記録。チーム全体でフィールドゴール成功率55.6%(50/90)、3ポイント成功率50.0%(14/28)、フリースロー成功率100.0%(14/14)とショットが絶好調で、得点をはじめリバウンド(48)、アシスト(32)と、いずれも今季最高のスタッツでウィザーズをねじ伏せた。「ゲームにフォーカスしなきゃいけなかった。ゲームプランを頭に叩き込んで、規律を持って立ち向かい、それを遂行して勝利を手に入れたということさ」

 そうオニールが語ったように、この日のネッツはディフェンスでもウィザーズを後半わずか29得点に封殺。試合全体でフィールドゴール成功率36.1%(30/83)、3ポイント成功率23.5%(8/34)に抑え込み、ウィザーズをホームゲームとしては球団史上ワーストの大敗へと陥れた。

 この試合で最も盛り上がりを見せたシーンは、第1クォーター終盤にデュラントが披露した“アンクルブレイク”だろう。トップ・オブ・ザ・キーから鋭いクロスオーバーで敵陣に切り込むと、対峙したダニエル・ギャフォードは大きく揺さぶられてコートにひざまずき転倒。デュラントはその横で悠々とプルアップジャンパーを沈め、敵地の観客たちを騒然とさせた。
 「あれは彼が(コートの)汗で滑ったのかと思った。流れを掴むことができて良かったし、スペースを作り出せたこと、それにショットを決め切ることができて嬉しかったね」

 試合後にそう振り返ったデュラントにとって、ワシントンDCは自身の生まれ故郷。電車でアリーナへ向かい、当時ウィザーズでプレーしていたマイケル・ジョーダンを間近で見て育ったという。

 その思い出の地で魅せた見事なアンクルブレイクがチームへ勢いをもたらしたことは間違いなく、5日のシャーロット・ホーネッツ戦でも27得点をあげたデュラントの活躍により98−94で勝利。ネッツは今季初の連勝をマークした。

 今後ネッツは7日のダラス・マーベリックス戦をはじめ、6試合中5試合でアウェーゲームが待ち構えている。チーム一丸となって白星先行できるか注目だ。

文●秋山裕之(フリーライター)