男子テニスツアー「ロレックス・パリ・マスターズ」(10月31日〜11月6日/フランス・パリ/インドアハードコート/ATP1000)は現地11月6日にシングルス決勝を実施。19歳のホルガー・ルネ(デンマーク/世界ランク18位)が元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/同7位)を3−6、6−3、7−5の逆転で下し、四大大会に次ぐマスターズ1000大会での初優勝を飾った。

 また1人、男子テニス界の超新星が大きな勲章を手に入れた。正確なリターンでプレッシャーをかけてくるジョコビッチから思うようにポイントを取れずに第1セットを落としたルネは、第2セットの第1ゲームでも早々に3つのブレークポイントを握られてしまう。

 それでもここを何とか凌ぎ切ると、直後の第2ゲームですかさずブレークに成功。以降も持ち前のテンポの速い攻撃と粘りのディフェンスでジョコビッチのミスを誘う安定したプレーを見せ、そのままセットオールに持ち込む。

 勝負のファイナルセットでも、第4ゲームで先にブレークを喫したルネだったが、すぐさま第5ゲームでブレークバックを奪って試合を振り出しに戻す。拮抗した展開が続いた中で迎えた第11ゲームでは値千金のブレーク。サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった第12ゲームでは6度のブレークポイントを与えながらも驚異の精神力でこのピンチを切り抜け、悲願のビッグタイトルを手にした。
  今回のパリ大会では、今年9月の全米オープンで初の四大大会優勝を達成した同じ19歳の世界王者カルロス・アルカラス(スペイン)や決勝で戦ったジョコビッチを含め5人のトップ10プレーヤーに勝利するという怒涛の快進撃で頂点に立ったルネ。大会閉幕後に更新される世界ランキングではキャリア初のトップ10入り(10位に浮上)が確定した。

 決勝戦後の表彰式でルネは初めに「小さい頃からずっと見てきて、一緒に練習もしてきた」というジョコビッチへ向けて「あなたと共にコートで戦えて光栄に思う。ノバクのような偉大なプレーヤーとこのような試合ができたのは、本当に良いステップになると思う」とコメント。

 続けて、日々自分を支えてくれている人々への謝意も交えながら喜びをあらわにした。

「信じられない気分だ。試合終了の瞬間はとても感動した。おそらく僕の人生、キャリア全体で最高の気分だよ。もっと大きな夢を持っているけれど、今回の優勝は小さな夢が叶ったようなものだ。最後のゲームを取り切った時は、僕の人生の中で最大の安堵感を抱いた。ストレスが溜まっていたから、勝ててとてもうれしいよ。間違いなく、今では(パリ大会は)僕のお気に入りのトーナメントだと言える。母、コーチのムラトグル氏、チームメンバー、そして僕のエージェントにとっても、この勝利は本当に素晴らしいものになった」

 一方、パリ大会2連覇と今季5勝目を逃したジョコビッチは「君と君のチーム、そして君の家族に”おめでとう”と言いたい。素晴らしい一週間だったね。君が僕を負かしたことは嬉しくないけど、その一方で僕は君の勝利を嬉しく思う」と素直に勝者のルネを祝福した。

 なおATP(男子プロテニス協会)の公式サイトによると、ルネはエントリーしていた21歳以下のシーズン最終戦「Next Gen ATPファイナルズ」(イタリア・ミラノ/ハードコート)の欠場を表明。補欠待ちの形で11月13日から開催される「Nitto ATP ファイナルズ」(イタリア・トリノ/ハードコート/最終戦)の出場を狙うという。

文●中村光佑

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