昨季2月、4チーム間のトレードでロサンゼルス・クリッパーズからミルウォーキー・バックスに加わったサージ・イバカ。アフリカのコンゴ人民共和国出身のビッグマンは、2012、13年にブロック王に輝き、2019年にはトロント・ラプターズでチャンピオンタイトルも獲得した、今年キャリア14年目のベテラン選手だ。

 そして、現在46万人を超える登録者数を誇るYouTuberとしても活躍中。なかでも人気を博しているのが、彼がシェフに扮し、料理を作ってゲストを招きトークするという『How Hungry Are You?』だ。

 これまでデマー・デローザン(シカゴ・ブルズ)、クレイ・トンプソン(ゴールデンステート・ウォリアーズ)、ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)、カワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)らビッグスターもゲスト出演している人気番組は、このたびシーズン5に突入。その映えある初回のゲストとして、バックスのチームメイト、ヤニス・アデトクンボが登場。自らを“フードデザイナー”と称するイバカの奇想天外な料理を囲んで、軽快なトークを繰り広げた。
  2人は、ヤニスが「たぶんこれまでのキャリアで一番悔しかった思い出」と語る2019年のカンファレンス・ファイナルで敵同士として戦った間柄。今の2人はチームメイトであるだけでなく、アフリカにルーツを持ちながらヨーロッパの国の代表として戦うという、似通った経歴を持つ。

 まずは“フーフー”という、キャッサバ粉をこねて餅のようにした西アフリカの主食や、ビーフソテーなどを食しながら、イバカの質問にヤニスが答える形でトークはスタートした。

「アデトクンボとか、アンテトクンポとかいろいろ呼ばれているけど、一体君の苗字はどれが正解なんだ?」

 イバカのツボを押さえた問いに、ヤニスはこう答えている。彼のルーツであるナイジェリアでは“ADETOKUNBO(アデトクンボ)”という発音だったが、ギリシャ国籍を取得する際、ギリシャ語でこの綴りを書く時に“D”が“NT”、“B”が“MP”という音を持つ文字に置き換えられたため、“ANTETOKOUNMPO”になってしまったのだと説明。NBAではパスポートの名前表記で契約するルールがあるため、ジャージーの背中部分も“ANTETOKOUNMPO”になっているが、彼にとっては“アデトクンボ”が本当の発音であるらしい。
 「FIBAの試合はNBAよりもタフ?」という質問には「ゲーム自体はヨーロッパのほうが断然タフ」だとヤニスは答えている。

「ヨーロッパでアベレージ10点を取ろうと思ったら、もの凄く頑張らないといけないけれど、NBAだと、フリースローだけで8〜10点くらいは軽く取れたりするし、試合時間が長いのもかえってイージーだ」

 そう答えたヤニスが選んだ、インターナショナル選手の最強ロースターは、ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティーシクサーズ)、ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)、エバン・フォーニエ(ニューヨーク・ニックス)、ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーヴェリックス)、そして自身。

 対するアメリカン最強ロースターは、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン(ともにゴールデンステート・ウォリアーズ)、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)、ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)、そしてビッグマンはバム・アデバヨ(マイアミ・ヒート)という顔ぶれだ。なかでもアデバヨがヤニスの一押しだという。

 また、彼にとって一番お気に入りのチームメイトは、兄のタナシスだという。

「彼はいつも笑顔で、エネルギーに満ちあふれていて、いつもそばにいてくれる。自分がどれだけプレーするかは関係ない。彼は今までで最高のチームメイトの1人で、それが僕の兄弟だなんて、素晴らしいよ!」
  そんなヤニスの兄弟愛は、「質問に答えたくなければ、コオロギがたっぷり入ったお茶を飲む」という究極の質問コーナーで、「兄弟3人で一番好きなのは誰?」「3人のうちで一番バスケが下手なのは?」といった質問で、涙目になりつつも迷わずコオロギ茶を飲み干していた姿からもあふれ出ていた。

 イバカが用意した、牛タンならぬ“羊タン(!)”入りのアメリカンドッグを、「羊が歯磨きしてるかわからない!」という苦しい言い訳で必死に拒否していたシーンなどは爆笑ものだったが、誠実な回答の合間に絶妙なジョークを散りばめるヤニスのレアな素顔にファンも大喜び。それを引き出したイバカのホストぶりは実に見事で、彼は引退後にはきっと、名MCとして引っ張りだこになること間違いなしだ。

 3度目の優勝を狙うバックスで、イバカはフォワードのバックアッパーであるだけでなく、チームのムードメーカーとしての役割も担っていることだろう。

文●小川由紀子

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